男の子も可愛いけど……

人間、生まれつきの性別は選べない。はてな匿名ダイアリーに10月上旬、「女の子を産みたかった」というエントリがあり注目を集めた。投稿者は、「男子を産んだんだけど、女の子を欲しいと思っていたので日々心が反応してしまう」と悩む女性だ。

「女の子いいですよねー」「次は女の子がいいね」などの周囲の言葉がいちいち気に障り、

「『娘産んで良かった。こうやって仲良くできるから』みたいなほっこり話を聞いても、私は『そりゃ良かったね』とくさくさするし勝手に傷ついてる」

と不満を吐露している。(文:篠原みつき)

「女の子は服も可愛いし、割合的にみたらおとなしくて育てやすいと思う」

不妊治療の末に授かったお子さんで、「息子はほんとかわいいし愛おしい」というものの、女の子を望む気持ちをもて余す。男の子は仲良くできるのは小さい頃だけと考え、夫と実家(母親)との距離感を見て寂しくなったという。自分は姉妹で育ち実家に頻繁に帰るため、余計そう感じるようだ。

「女の子は服も可愛いし、割合的にみたらおとなしくて育てやすいと思う」
「女の子の母親に『いいでしょー?』と言われている気持ちになっている」

など、「女の子」に対する憧れや期待がやたらに強く、女児を持つママ友の言葉をマウンティングと感じて苦しんでいる。「今の環境を受け入れて、女の子育ててる人たちに(勝手に)傷つかないようになりたい」と訴えていた。

この投稿は500以上のブックマークがつき、冷静な指摘や批判が相次いだ。

「女だからって実家にちょいちょい帰ったりしないケースもあるよ。娘に過大な期待しないでね」
「うわぁきっつー。娘を手放さない毒親になるから絶対女の子産まないほうがいいよ」

また「そういう風に思えるのは投稿者の姉妹とお母さんの関係が良いからで、それ自体は幸せなこと」とした上で、

「女の子だろうが男の子だろうが距離感間違えた過干渉な親と子は悲劇。あなたがあなたの息子さんと幸せな距離を作れるといいね」

と優しく諭す人もいる。過度にこだわると毒親になってしまうと危ぶむ人が目立った。投稿者は「2人目をつくる気はない」と断言し、あらゆる慰めやフォローも否定していたので、思いが強すぎるところが心配ではある。

「高2の息子とライブやフェスに一緒に行ったりする」と仲の良さ披露する人も

一方で、コメントでは「ママ友ガチャでハズレひいちゃっただけ」「毒親なんてことはない、愚痴を言っているだけ」など、投稿者をフォローし励ます声も多かった。

男だから親に冷たいということはなく、「月一で実家に帰って母の話を2時間ほど聞く活動をしている息子がこちらになります」など、良好な親子関係を披露する人たちもいる。高校2年生の息子とライブやフェスに行っているという羨ましい人もいた。

実は筆者も妊娠中、聞いてもいないのに病院で「男の子ですね」と言われてひどくガッカリした覚えがある。息子は愛しいに違いないが、洋服は彩りが乏しく、可愛い女の子服のカタログを見てはため息をついたものだ。投稿者の気持ちはわかる面もある。

それでも、かわいい息子の成長を見ていれば、男か女かはどうでもよくなるものだ。「この子でよかった」という面白いこと楽しいことが山ほどあるからだ。どちらにしても、子どもは自立して親離れすることは、忘れてはいけないと思う。おそらく投稿者は、女の子が欲しい気持ちは一生消えないだろう。しかし、くよくよ悩む思いは時の経過とともに薄れていくのではないだろうか。そうでないと子どもが困る。