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Point

■自覚症状なしに身体に貯まっていく隠れ脂肪の蓄積場所に、肺を追加するべきだという意見が上がっている

■新たな研究では、研究目的で寄付された死亡した患者の気道組織サンプルを調査した結果、肺の気道壁に脂肪が蓄積していたことを確認した

■気道の脂肪は肥満度の目安となる体格指数(BMI)と関連があり、これは肥満が喘息症状の直接的な原因となる可能性がある

肥満は、現代人を悩ませる代表的な健康問題の1つです。

特に中年以降になると、人は肥満化しやすくなり、それを原因とした様々な健康問題が顕著になって行きます。

特に内臓に脂肪が貯まる状態は、見た目的にも変化に乏しく自覚症状なく進行する危険な状態と言われています。脂肪肝はその代表的な例で、これは心筋梗塞や脳卒中、がんなど危険な病との関連も指摘されています。

こうした内臓に貯まる脂肪について、新たな危険が提示されました。

それは、肺にも脂肪が貯まるというものです。新たな研究では、肺の気道壁に脂肪が蓄積することが指摘されており、これが喘息の原因となっていることが報告されています。

重症化すると死亡原因にもなる喘息ですが、それが肥満で起きるとなると体重に気を使う重要性はますます高まるでしょう。

今回の論文は、西オーストラリアパースのサー・チャールズ・ゲアードナー病院の研究員John Elliot氏を筆頭とした研究チームより発表され、呼吸器系の医療学術誌「European Respiratory Journal」に10月17日付けで掲載されています。

肺の肥満

肥満と喘息の関係については、何年も前から指摘されていました。

肥満患者の間では、喘息症状が増加するという報告があり、また肥満の場合ほど、喘息患者の症状が重症化しやすいとも言われています。

こうした原因については、過剰な体重が肺に直接圧力をかけているため、または肥満の場合運動時の呼吸量が増加しやすいためである、と言われていましたが、明確な関連性については示されていませんでした

今回の研究者たちは、研究目的で寄付された喘息で死亡した患者16人、喘息だったが他の原因で死亡した人21人、死亡前に喘息の病歴がなかった15人の計52人の患者から気道組織のサンプルを採取して分析を行いました。

分析では特殊な色素で気道組織に色を付け、顕微鏡分析を行っています。

その結果、喘息の有無に関わらず、気道壁に脂肪組織が存在することが確認されたのです。

気道組織の顕微鏡画像(200倍)。左下が脂肪細胞。/Credit:European Respiratory Journal/John G. Elliot(2019)

さらに、気道壁の脂肪組織の蓄積量と体格指数(BMI)が関連していることも明らかにされ、BMIが高い人ほど気道壁の脂肪はより多く蓄積されていました。

BMIは体重/身長2で計算される肥満度を測る数値で、この値が25以上になる場合、肥満と判定されます。(数値が25以下の場合でも隠れ脂肪を持つ危険は存在します)

喘息は一般的に気道が炎症により狭まることで、空気の入るスペースが制限されて起こる症状です。気道にも脂肪がつくという事実は、肥満がこれら喘息の直接的な要因になることを示しています。

体重と呼吸器疾患が関係することを示したこの研究には重要な意味があります。

アレルギー性の病気は、明確な原因の特定が難しく治療にも時間を要する場合が多いですが、気道に脂肪が貯まって喘息になるとしたら、生活を改善しない限り治すことは難しくなるでしょう。

この所見は、現在気道に脂肪がつくという事実の発見に留まっており、明確に喘息と肥満との関連を示しているものではありません。しかし、この発見は患者が肥満の場合、喘息が減量によって治療できる可能性も示しており、また適切な体重を維持することの重要性を明らかにしています。

肥満は多くの人が悩みつつも、あまり真剣に向き合っていない健康問題かもしれません。しかし、身体に脂肪が貯まる状況は、想像している以上に身体の様々な場所に影響を及ぼしている可能性があるようです。

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「肺の隠れ肥満」が喘息の原因になっている可能性