◆飛び入りでもいける「皇居参観」

皇居・旧江戸城桜田巽櫓。
一般参観で見ることができるのはこの奥の部分。

 10月22日に「即位礼正殿の儀」がおこなわれるなど、皇位継承儀式により注目を浴びる「皇居」。その皇居の一般参観に「予約なし」の当日飛び入り参加できることを知っているだろうか。

 皇居はその広さゆえに通勤・通学の電車やオフィスなどから毎日のように眺めている人も多いと思うが、身近な場所だからこそ「まだ中に入ったことない」という人もいるであろう。

 今回は高層ビルが立ち並ぶ二重橋前・大手町駅から僅か数分で行ける異世界――「皇居参観」へと出かけてみよう。

◆1日の定員は何と1000人!気軽に楽しめる「皇居さんぽ
 皇居の一般参観は、基本的に火曜日から土曜日までの午前(9時半受付開始)と午後(13時受付開始)各1回ずつ、ガイド付きのツアー形式で実施されている。参観料は無料で、各回の定員は事前申し込みが200人、当日受付が300人の合計500までと非常に多いため、大抵は当日でも気軽に参加することが可能。出張や旅行などで「東京駅から帰る前に数時間ほど空きができたので東京らしい場所に行ってみたい!」という人にもピッタリだ。

 一般参観の集合場所となるのは皇居前広場の江戸城桔梗門前。最寄り駅となる東京メトロ二重橋前駅(「D2番」もしくは「6番」出口)からは歩いて5分ほどで、JR東京駅から行幸通りを経由しても10分ほどの場所になる。せっかく皇居に行くならば、東京駅から行幸通りを通って行くのもいいだろう。

東京駅からはまっすぐ歩いて10分ほど。

 一般参観の整理券配布は受付開始時間の30分前から。筆者が到着したのはちょうど整理券が配布される時刻だったが、まだまだ人数には余裕があった。

 皇居の一般参観の特徴といえば、何といっても「外国人が多い」こと。ざっと見た感じ、この日も約半数ほどが外国人観光客だった。
 実は、皇居の参観ツアー2018年より様々な言語で実施されている。それ以降は外国人の参観者もさらに増えているということで、来日した外国の友人と一緒に参加したり、またあえて日本語ではない言語のツアーへと参加してみるのも面白いだろう。

一般参観参加者の長い列が!外国人も少なくない。

 首から参観証をかけて桔梗門から入り、手荷物検査を受けたのち、「窓明館」と呼ばれる休憩所で説明を聞きながら参観申込書を記入する。人数が多いため出発までには時間がかかることもあるが、それまでは休憩所のとなりにある東御苑売店でお土産を買ったり、トイレを済ませておこう。東御苑売店にはここでしか買えない「皇居グッズ」が数多く品揃えされている。
 また、記念スタンプを押したい!という方はこの窓明館にあるのでお忘れなく。このほか、自動販売機や冷水器も設置されている。

 言語と参観証の番号ごとにグループに分けられ、いよいよ参観ツアースタートだ。約2キロ、1時間半ほどの行程になる。途中にゆるい坂道もあるものの、当然道は綺麗に整備されているため「ちょうどいい散歩コース」といった雰囲気であるが、なるべく歩きやすい靴での参加がオススメだ。

◆写真で見る「皇居散歩」
 ツアーは担当するガイドさんによっても少しずつ説明・解説が異なるという。今回どういう解説があったかについてはあえてあまり書かないので、ここからは写真を中心に「皇居散歩」のようすを紹介しよう。

桔梗門。一般参観ではここから皇居内へと入る。江戸時代には「内桜田門」とも呼ばれていた。
かつて太田道灌の家紋である「桔梗」があしらわれていたことが名前の由来だとか

1921年に建てられた旧枢密院。奥にあるのは皇宮警察。

江戸城の石垣には築城した際に担当した諸大名の家紋などが刻まれているものも。注意深く探してみよう

江戸城で現存する3つの櫓のうち最も大きい富士見櫓。かつてはここから富士山が見えたそう。
庭園の清掃にはボランティアの方も多く参加しているとのこと

宮内庁本庁舎。1935年築。空襲後は仮宮殿として使用されたことも。
こうした歴史的建造物に出会えるのも皇居見学の楽しみの1つだ

皇居宮殿・長和殿。現在の宮殿は1968年に建てられたもの。
一般参賀の際には、前の広場である「東庭」が約2万人の人で埋め尽くされる。
実は地下は駐車場となっているそう

あまりの広さにここが何処か忘れてしまいそう。正面に見える警視庁でようやく「自分の居る場所」が把握できる。
正面に見えるのは正面鉄橋、通称「二重橋」

正門石橋から皇居前広場を望む。
「二重橋」というとこの橋をイメージする人もいるであろうが、二重橋はこの写真を撮影している場所、石橋より1つ皇居側の橋のこと

 1つ、説明のなかで気になったのは、一般参賀でもお馴染みの宮殿前の花が「今の上皇陛下の誕生日に合わせて12月に咲くようになっている」ということ。

 天皇陛下誕生日2月26日。果たして来年の天皇誕生日の一般参賀では植えられている花々に変化があるのかどうか…ぜひ注目してみたい。

街灯1つをとっても美しい
実は戦前に建てられた街灯も大部分がLED化されているとか

◆隣接する皇居東御苑・三の丸尚蔵館もオススメ!
 さて、皇居の参観を終えた後にオススメしたいのが、「皇居東御苑」と「三の丸尚蔵館」の見学だ。

 こちらは桔梗門から一旦内堀通りに出て、パレスホテルを右に見ながら北側に進んだ場所にある旧江戸城大手門から入苑することができる。ちなみに、皇居東御苑と三の丸尚蔵館に直接行く際には東京メトロ都営地下鉄大手町駅(「C13a番」もしくは「C13b番」出口)を利用すると便利だ。

内堀通りを北に進むと見えてくるのが旧江戸城大手門。
現在の大手門は空襲で焼失後、1967年に再建されたもの。
ここから皇居東御苑へと入ることができる

 皇居東御苑は旧江戸城本丸・二の丸・三の丸の一部に設けられた庭園で、皇居宮殿・長和殿が設けられた1968年から一般公開がおこなわれている。こちらはツアー形式ではなく完全に「自由散策」となっているため、「一般参観は時間が合わなくて行けそうにない」という人にもオススメしたい。

 この東御苑内にある三の丸尚蔵館は、もともと昭和天皇ゆかりの品を収蔵・展示する施設として1993年に設立されたもの。皇室から国へと寄贈された平安時代からの貴重な美術工芸品などが収蔵・一部展示されているほか、季節ごとに様々な企画展覧会も開催されている。それぞれの入場料は無料だが、持ち物検査を受け管理票を貰う必要がある。9月21日から1月19日までは「大礼-慶祝のかたち」展を実施中。また、入場可能時間は季節によって変化する(2019年10月の三の丸尚蔵館の開館時間は9時から16時15分(入館は16時)まで、11月は9時から15時45分(入館は15時30分)まで。月・金曜は休館)。

 また、東御苑内では1657年の「明暦の大火」(振り袖火事)によって焼失するまで江戸城の天守閣があった天守台なども見学することができるが、10月現在はある工事のためにこの天守台を見学することはできない。

三の丸尚蔵館

 緑に囲まれた都心のオアシス・皇居。

 皇位継承儀式などによりメディアで見かける機会が多い今だからこそ、「まだ行ったことない!」という人は、皇居を散策して江戸から令和までの時代の移り変わりを感じてみてはどうだろうか。

皇居東御苑から見た大手町の街並み。皇居はまさに「都心のオアシス」だ。
現在、東御苑は一部のみしか立ち入ることができない

11月には「大嘗宮」の限定公開も
 なお、皇居の一般参観は皇位継承儀式などにより10月から11月にかけて実施されない日が多くあるほか、皇居東御苑は11月に大嘗祭がおこなわれる「大嘗宮(だいじょうきゅう)」の建設工事のため一部のみしか立ち入ることができない。大嘗祭とは天皇陛下が即位後はじめて行う新嘗祭のことで、先ほど書いた「天守台が見学できない」という理由は、この大嘗宮工事のためだ。大嘗宮は、大嘗祭後の11月21日から18日間限定で一般公開される予定。伝統様式にのっとって建てられた儀式の場は即位の年にしか見ることができないため、この期間に合わせて皇居散策へと出かけるのもいいだろう。また、三の丸尚蔵館についても今後増築、もしくは建替えられる計画があるため、将来的には「長期休館」となる可能性もあるという。

 参観にはパスポートや運転免許証などの身分証明書の持参が必要であり、18歳未満の方は成年者の同伴が必要など様々な決まりもある。「当日参加も可能」といえども、事前に宮内庁ウェブサイトなどを見て、日程などをしっかり確認したうえで訪問しよう。

<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>

【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken

皇居・旧江戸城桜田巽櫓。 一般参観で見ることができるのはこの奥の部分。