Credit:Anselmo d’Affonseca、Instituto Nacional de Pesquisas da Amazonia

Point
■white bellbirdスズドリ)は南米ギアナの森林に棲息する鳥類で、特徴的な甲高い声で鳴く

■その鳴き声は125dbもあり、これはロックコンサートやチェーンソーの音を超える大きさ

スズドリが大きな声で鳴くのは主に求愛行動のときで、この鳴き声は世界中の鳥類の中でもっとも大きい

鳥の鳴き声は、ウグイスのさえずりのような涼やかで趣を感じるものもあれば、住宅街のカラスのようなやかましい騒音まで様々です。

できれば綺麗な鳴き声を楽しみたいものですが、今回話題になっているのは、残念ながらやかましい騒音となりそうな鳥の鳴き声です。

ブラジルの北方に生息するスズドリは、最近の調査により鳴き声の音量が平均して125.4db(デシベル)もあることが確認されました。これは現在のところ、全世界でもっともうるさい鳥の鳴き声です。

デシベルという音圧の単位がどの程度の音量を表すかは、すぐにはピンと来ないかもしれません。しかし、ライブハウスで流れる音楽がおよそ110〜120db、多くのメーカーでチェーンソーの出す音量が90〜100dbであると聞けば、125.4dbという鳴き声がいかに非常識な音量かわかると思います。

このスズドリに関する論文は、マサチューセッツ大学アマースト校の生物学者Jeffrey Podos氏により発表され、生物学全般を扱う学術雑誌『Current Biology』に10月21日付けで掲載されています。

Extremely loud mating songs at close range in white bellbirds
https://doi.org/10.1016/j.cub.2019.09.028

怪音波を放つ鳥

まずはこの鳥がどんな鳴き声で鳴くのか、動画で見てみましょう。この動画の音量は人間の耳に危険のないボリュームに調整されているので安全です。

まるでマイクハウリングを起こしている様な音ですが、これはスズドリが求愛行動を行っているときの鳴き声だと言います。

研究者のPodos氏は最先端のサウンドレコーダー、騒音測定器、高速カメラを使用してスズドリを観察し、非常に高い時間精度でその鳴き声を測定しました。

これまでもっとも鳴き声が大きいと言われていた鳥はムジカザリドリですが、今回の測定でスズドリの鳴き声はその3倍近い大きさを記録しました。その声はホエザルやバイソンよりも大きいそうです。

ちなみに下の動画がうるさい鳴き声元チャンピオンムジカザリドリです。

スズドリ体重がわずか250グラムしかなく、この小さなサイズでこれだけ大きな鳴き声を放つというのは快挙という他ありません。

比較のためにあげると、一般的に玄関の呼び鈴は80db、カーホーンは110dbくらいに調整されていて、スズドリ125dbより小さい音です。空襲サイレンが130db、ジェットエンジンの離陸時の音が150dbと言われていて、ここまでの騒音でやっとスズドリの鳴き声を超える音量になります。

まさに耳をつんざくような鳴き声です。

この研究では、スズドリの大きな鳴き声が近距離のコミュニケーションでも行われている点を非常に不思議なことだと語っています

通常動物は、長距離のコミュニケーションのために大きな鳴き声を利用します。相手が近くにいる場合、発する声は小さくなります。

愛する人の顔に向かって、聴覚障がいを起こさんばかりの大声を上げるというのは、私たちには理解を超えた行動ですが、動物たちの変わった求愛行動の数々を見れば、それほど不思議なことではないのでしょう。

例えばキリンのオスは、メスに放尿させてそれを飲むというおかしな求愛行動を取ることが知られています。人間の中にも似たような行動を取る人がいると聞きますが、他人の愛の形にとやかく言うのは無粋なのかもしれません。

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reference:zmescience,sciencealert/ written by KAIN
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