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 特に目的もないのにだらだらとスマホをいじるのは楽しい。そんなとき、ふとスマホは握られている感覚を味わっているのだろうか? などと疑問に思ったことはないだろうか。

 もちろん、そんなはずはない。スマホは心のないただの工業製品なのだから。

 そんなのおかしい! とか思っちゃったのだろうか。フランス国立高等電気通信大学のマーク・テシエ氏の研究グループは、スマホケースを人間に近づけちゃったようだ。

 それはクローネンバーグの映画に出てきそうな、人間の皮膚をそのまま再現した皮膚感たっぷりのちょいグロいやつだ。

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触られると感知する、皮膚そっくりのスマホケース

 このスマホケースのすごいところは、ペシッペシッと叩くと、それを感知する。なでてみたり、つねってみたり、くすぐってみたりしても反応する。だって皮膚ですから。

 一応はちゃんと実用性だって考慮されている。それは「スキン・オン・インターフェース」と呼ばれ、いろいろなジェスチャーやタッチコントロールを可能にする高度なデバイスなのだ。

 しかも、そうしたジェスチャーから感情を読み取ることもできる。軽く叩かれれば、自分を呼んでいるのだなとスマホは察する。ぎゅっと握ればあなたの怒りを察する。

 優しくなでれば心地よさを感じるようプログラムできるし、ちょっとセクシーなジェスチャーもあるかもだ。

 スキン・オン・インターフェースの可能性のひとつには、バーチャルアバターとのスキンシップを通じたコミュニケーションが挙げられる。

 プロジェクトが順調に進めば、大人の為の大人による大人なちっくな使い方なんかができることだろう。

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スマホをつまみたい欲望から誕生

 テシエ氏によると、そもそも開発の発端となったのは、スマホをつまんでみたいという欲望だったのだとか。ちなみに彼には指つきスマホを考案した過去もあり、指先の諸事については一家言あるらしいことがわかる。

 テシエ氏は、触覚による人とコンピューターの相互作用を探求しているという。人は触れ合うことで愛情や感情を伝える。それは言葉よりも豊かなものだ。だが、人と人の触れ合いは、スマホによって奪われつつある。人が一番長い時間触れ合っているものはスマホとなってしまった。

 ならばスマホに人工皮膚を与え、人間のようなぬくもりを与えようというのがテシエ氏の狙いだ。

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試行錯誤の末に完成した人工皮膚

 現実には、人間の触れるという行為を人工的に再現することはかなり難しい。テシエ氏らがプロトタイプを作り上げるまでには3ヶ月がかかっており、人工皮膚にふさわしい素材を選び出すことは一筋縄ではいかなかったそうだ。

 「厄介だったのは、曲げ伸ばし可能で、同時にタッチを検出できるものを開発することでした」とテシエ氏はニュー・サイエンティストに語っている。

 なお開発されたプロトタイプには2種類ある。シンプルな単色バージョンと、人間の皮膚の質感をこれでもかとばかりに再現したリアルバージョンだ。

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 それはシリコンで形成された表皮と皮下組織の間に配線を行ったもので、人間の皮膚と同じような多層構造だ。

 スマホ以外にも、ノートPCタッチパッドスマートウォッチにも応用できるという。

References:Creepy human-like skin makes your phone ticklish and pinchable | New Scientist/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52283845.html
 

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