トータルテンボスのライフワークともいうべき毎年恒例の漫才ライブツアーが、今年も開催。「トータルテンボス全国漫才ツアー2019『CHATSUMI』」と題し、9月より全国を巡回中だ。彼らのツアーではおなじみのドッキリVTR企画「今日のいたずら」も大好評。また千秋楽の東京公演は、例年のルミネtheよしもとを飛び出し、よみうりホールで開催されることも注目を集めている。

【写真を見る】芸人仲間から“勝ち組”とうらやましがられているトータルテンボス。「確かに恵まれているとは思います。自分たちが楽しいことをやれてるんで」(大村朋宏)

テレビジョンでは、目下ツアー真っ只中の大村朋宏と藤田憲右の二人を直撃。ロングインタビュー後編となる今回は、先日DVD化された2018年の全国漫才ツアー「いきなりミックスベジタブル」についての話を皮切りに、明日のお笑い界を担う若手芸人たちへの思いなどを聞いた。

■ 「2018年の『いきなりミックスベジタブル』は、“部活動”みたいに青春っぽい感じのツアーでした」(大村)

――今年のツアーの開始に合わせて、昨年の「トータルテンボス全国漫才ツアー2018『いきなりミックスベジタブル』」の模様を収録したDVDも発売されましたね。

藤田憲右:…すいません、去年のツアーの話をされても、何をやったかよく覚えてなくて。

大村朋宏:忘れるの早っ(笑)。

藤田:いいツアーだったなっていう印象は間違いなくあるんですけど。

大村:俺は、去年のツアーにはかなり手応えを感じましたね。ネタのクオリティーも高かったと思うし、みんなで一つのものを作り上げたという意味で、“部活動”みたいに青春っぽい感じのツアーだったなと。

藤田:ああ、うん、確かに部活っぽかった。

大村:あと、いたずらのVTRで、「ピタゴラスイッチ」(NHK Eテレ)ばりの大スペクタクル作品を流したんですけど、これからDVDを見る方には、このいたずらにも注目していただきたいです。見たらきっと感動してもらえると思うんで。

藤田、あ~、アレね(笑)。

大村:ぜひ、われわれ仕掛ける側の手間暇を見てもらいたいなと(笑)。

■ 「俺たちは今がちょうどいいバランスなのかもしれないですね、売れすぎてない感じで(笑)」(藤田)

――お二人は、大規模な漫才ツアーを毎年行う一方で、「くさデカ」(テレしず)、「げなパネ!」(NBC長崎放送)といった人気ローカル番組にレギュラー出演されています。そんなマイペースな活動を見て、「トータルテンボスこそ本当の“勝ち組”だ」とうらやましがる芸人仲間も多いそうですが…。

大村朋宏:ああ、(レイザーラモン)RGとかが言ってくれてるらしいですね(笑)。まぁ、“勝ち組”かどうかは分からないけど、自分たちでも、すごく恵まれているなとは思いますよ。別に“売れる・売れない”ってこととは関係なく、自分たちのペースで、自分たちが楽しいことをやれてるんで。

藤田憲右:地方で冠番組を持たせてもらって、単独ライブのツアーも毎年やらせてもらえて。考えたら俺たち、1年目、2年目の若手芸人が「こんなことやれたらいいな」っていうことを全部やれてるんですよね。そういう意味じゃ、俺たちは今がちょうどいいバランスなのかもしれないですね、売れすぎてない感じで(笑)。

――若手芸人といえば、最近大人気のEXITは、トータルテンボスの“渋谷系漫才”に憧れて、“NEO渋谷系漫才”を始めたそうですが、先日の「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ系)では、EXITの二人から「最近丸くなった」とイジられていましたよね(笑)。

大村:番組の中では、「おまえらだってそのキャラ、長くは続かねえぞ」とか言って反撃しましたけど…なんか全然まだまだ続きそうですよね、今のEXITの勢いを見てると(笑)。

藤田:でもやっぱり多少はモデルチェンジしないと、つらいんじゃないかなぁ。見てて痛々しくなってきちゃうんじゃない?

大村:でも、僕たちとか周りの言うことに聞く耳持たないで、ずっとあのスタイルを貫き通したら、それはそれですごいけどね。

藤田:だから、あいつらが俺らと同じ22年目のときに、今と同じ格好で「イグジーット!」ってやってたら、本物ですよ(笑)。

■ 「今の若手はみんな面白い。霜降り明星みたいなヤツは山ほどいると思います」(藤田)

――ちなみに最近、お二人が気になる若手芸人は?

藤田憲右:いや、今の若手はみんな面白いですよ。マジですごい。

大村朋宏:サバンナの八木(真澄)さんが今、若手芸人を鍛える「(サバンナ八木の)芸人男塾」っていうYouTubeチャンネルをやってて。この前、われわれの「SUSHI★BOYS」(※YouTubeのトータルテンボス公式チャンネル)と「芸人男塾」でコラボしたんですけど、そこに出てたタレンチっていう大阪の若手コンビが、なかなか面白かったです。タレンチが僕らに会いに来るために大阪から東京に向かう道中で、面白い土産話を作らなくちゃいけない、っていう企画だったんですけど、“ギャガー”みたいな感じがすごくよかった。まだ5年目で、ネタは見たことないんで何とも言えないですけど、俺たちとの絡みのトークも面白かったし。

藤田:大阪の吉本の層の厚さを感じましたよね。大阪には、あれくらい面白い若手はゴロゴロいるんだろうなって。

――昔と比べると、若手芸人の笑いのレベルは上がっているんでしょうか。

藤田:うん、めちゃくちゃ上がってますよ。

大村:そもそも、芸人の総人口が多いですからね。その中で、しのぎを削って削って、上がってきたヤツらだから、面白くないわけがない。あとはもう何かきっかけさえあれば、みんなすぐ売れると思います。

藤田:大げさじゃなく、霜降り明星みたいなヤツは山ほどいると思いますよ。

大村:そうだな。漫才のスキルも、平均的に高くなってきてるし。

■ 「『芸人にならなくても成功したんじゃないの?』みたいな若手が多くて、ちょっとつまらないなって」(大村)

――では、愚問かとは思いますが、今の若手芸人たちにあえて苦言を呈するとしたら?

藤田憲右:苦言なんてないですよ。みんな真面目だし。

大村朋宏:まぁだから、強いて言えば、常識人すぎるところが物足りない、っていうのはあるかもしれないですね。

藤田:ああ、そうだね。「もうちょっとはみ出せよ」って。

大村:ただ、今はもうお笑い芸人も常識人じゃないと許されない世の中になっちゃいましたからね、そういう時代だって言ってしまえばそれまでなのかもしれないけど。だって俺たちが若手の頃なんて、ガラの悪い破天荒な先輩ばっかりでしたから(笑)。でも、だからこそ面白い、ってところもあったと思うんですよね。

藤田:今の若手はみんな、ちゃんとあいさつできるもんな。

大村:学もあるし。

藤田:女遊びをしてるなんて話も聞かないし。

大村:要するに、今の若手って、「芸人にならなくても成功したんじゃないの?」みたいな子が多いような気がするんですよ。どんな職に就いたとしても、それなりに出世したんだろうなって。そこが何か、ちょっとつまらないなっていうか。

藤田:俺たちなんか、お笑いの世界しか行くところがなかったですから(笑)。

あと最近思うのが、まぁ一部ではありますけど、自分の特技とか知識を生かした“○○芸人”って増えてきたじゃないですか。ああいう芸人を見てると、サブのスキルがメインになって、本業であるはずの芸事を、ちゃんとやってないんじゃないかなって思っちゃうんですよね。

大村:あぁ、確かに。何が売れるきっかけになるかは分からないし、何をやるのも自由なんだけど、「いいのか、それで?」と思うことはありますね。

藤田:今テレビで活躍している先輩方も、漫才にしろコントにしろ、元々はしっかりネタをやってきた人たちなんですよ。皆さん、その上で活動の幅を広げていってるわけだから。…って、なんか偉そうになっちゃいましたかね。そんなことをたまに感じたりしています、っていうことで(笑)。

■ 「トータルテンボスにしか出せない空気感を味わってもらえたら」(大村)

――それでは最後に、改めて「トータルテンボス全国漫才ツアー2019『CHATSUMI』」への意気込みをお願いします。

大村:実は今年、東京(公演)の会場をよみうりホールにしたんですね。例年はルミネ(theよしもと)でやってたんですけど、おかげさまで、ルミネは毎回満員御礼なので、そろそろハコ(※会場)を大きくしてもいいのかなと。そして今年は、ツアー全体で動員1万人を目指してるんです。

藤田:全会場が満席になれば、1万2000人になる計算なんですよ。

大村:ですから、各会場の近くにお住まいの方々はぜひ、足を運んでいただけたら。トータルテンボスにしか出せない空気感を味わってもらえたらなと思います。

藤田:そうですね、うちらのライブを見たら、きっとこれまでとは違う世界が見えてくると思うので、ぜひぜひ。(ザテレビジョン

全国漫才ツアー「CHATSUMI」を展開中のトータルテンボス