ドラマ「あなたの番です」(2019年、日本テレビ系)で、かわいらしいルックスからは想像できない怪演が話題となり、現在放送中のドラマ「まだ結婚できない男」(毎週火曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)や舞台など、多方面で活躍中の若手女優・奈緒。そんな今最も注目を集める奈緒が、初主演を務める映画「ハルカの陶(すえ)」が10月25日(金)からイオンシネマ岡山で先行公開し、11月30日(土)からは全国で公開される。

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同作は岡山を舞台に、備前焼に魅了された女性・はるか(奈緒)と、その土地に生きる人々の夢と情熱を描く作品だ。そこで、奈緒に初主演が決まった時の気持ちから、撮影中のエピソード、今作に懸ける思いまで語ってもらった。

――初主演ということですが、初めてこの話を聞いた時はどんな気持ちでしたか?

もちろんうれしかったです。でも、備前焼という伝統的なものを扱う作品なのに、それを全然知らない私が主演でいいのかなという気持ちはありました。

――実際に台本を読んでいかがでしたか?

はるかって、無鉄砲で真っすぐで強い女性に見えるのですが、でもそういう部分ってどんな人にもあると思うんですよね。

ただ、備前焼と出合ってからのはるかと、出合う前に東京でOLをしていた時のはるかは全然違って。本当の自分の熱い部分に気付いたというか、そのきかっけになったのが備前焼で、備前焼と出合ったことによって、本来の強さや真っすぐなところが開花したんだと思います。

私がこの映画で備前焼と出合って、その魅力にどんどんはまっていったように、はるかが物語の中で備前焼に魅了されていったことはリンクしていましたね。

■ 「はるかにとっての備前焼が私にとってはお芝居でした」

――はるかが備前焼を見て衝動的に突き動かされて(岡山へ行くという)行動に移していましたが、ご自身もそういった経験はありますか?

私の場合はこのお仕事です! 初めてお芝居した時に、すっごく楽しくて。はるかにとっての備前焼が私にとってはお芝居でした。このお仕事と出合えた時、初めてつかんで離したくないって思いました。それまでは自分にドラマのようなことが起こるなんて思ってもいなかったし、何となくですけど、親がこうなってほしいって思うような人生をたどっていくんだろうなって思っていました。

でもお芝居をして、これを追い掛けることが夢を追い掛けるってことなんだと思いました。

ただ、それまではすごくお芝居に興味があったとか、映画やドラマが大好きだったというわけではなくて。事務所に入ってからモデルやリポーターなど、いろんなことをやる中で、お芝居をやってみたら、これまでにない感覚で「自分も知らない自分と出合えるのかもしれない」ってワクワクしたんです。

――では、はるかに対して共感しながら演じていたのでしょうか?

そうですね! すごくはるかの気持ちが分かりました。

――備前焼の工程である菊練りや窯焚きなど、実際にやってみていかがでしたか?

土をさわっていると、童心に返りますよね。(備前焼作家の)先生方が「備前焼って難しく思われがちだけど、まずは土をさわってほしい。作品を手に取ってもらうこともうれしいけど、でもまずは土をさわってほしい!」とおっしゃっていて。ほんとにろくろを回す気持ち良さとか土をさわる心地良さって、やってみないと分からないので、皆さんにもぜひやってほしいです! やったら絶対に好きになりますよ(笑)。

スタッフさんとみんなで一緒にやった日があったのですが、土をさわっているとみんな笑顔になっていました。難しいとか大変というよりも楽しい気持ちの方が大きかったですね。

今でも岡山行くと、先生と一緒にお茶わんを作ったりします!

■ 「『私がはるかである』と監督も信じてくださった」

――はるかを演じるにあたって、末次(成人)監督からは何かアドバイスやリクエストはありましたか?

監督からこうしてほしいという要望はなかったですね。ただ、台本にはないんですけど、修(平山浩行)さんから「弟子なんて取るんじゃなかった」って言われるシーンで、どうしても涙が出てきてしまって。何度やっても涙が出てきて、どうしようって監督に相談したら、監督は「奈緒ちゃんははるかだから。はるかがそうなるんだったら、それでいいんだよ」って言ってくださって。

「私がはるかである」ということを監督も信じてくださって。監督自身も「はるかを見ていると自分だと思っちゃう」と言っていて、私と監督が見ているはるかは、一緒だったのかなと思いました。

―― 一番印象に残っているシーンについてお聞かせください。

窯焚きのシーンですね。大変なこともあったんですけど、でも備前焼ができる工程の中で最も大切な工程ということが共通認識だったので、緊張感もありました。

物語としても、修からはるかが窯主代表を頼まれて、はるかが弱気になったことに対して、「頑張るんじゃなかったのか」と言われて。乗り越えていかなければならないという思いが強かったし、一番印象に残っています。何よりも修と一緒に成長できたシーンだと思います。

――今後やってみたい役はありますか?

家族もの、友情もの、恋愛もの。誰しもが持っている感情で、どんな人にも身近にあるものなので、どんどんやっていきたいです。ただ、どんな役であっても、(「あなたの番です」で演じた)尾野ちゃんでも、私に預けてくださるなら、なんでもやりたいです!

――最後に今作の魅力、見どころをお聞かせください。

全編、岡山で撮った作品なので、そこでしか撮れない空気感と音と備前焼と人が、どのようにかかわっていくのかを、たっぷり浸れると思うので、忙しくて最近休めてないなっていう方にもぜひ映画館で見ていただきたいです!(ザテレビジョン

演じたはるかについて、監督に相談した際のエピソードを明かす奈緒