タイトルのかかったカップ戦」といえば、思い出すことがある。今年2月に行ったFUJI XEROX SUPER CUP 2019だ。

 天皇杯覇者である浦和レッズに1-0で勝利。「一発勝負に勝てない」と言われていたクラブの歴史を払拭したことも含め、試合後の谷口彰悟はシーズン終盤に生きてくる体験であると胸を張った。

「決勝戦のつもりでやろうと監督からは強く言われていました。次に繋がるという大会ではないですが、少なからず決勝戦のような雰囲気は味わえました。そこで勝ち切る大切さも勝ったことでわかりました。この経験が、今シーズンの10ヶ月後か9ヶ月後にも生きてくると感じています」

 谷口の予言通り、その舞台はやってきた。

◆準決勝で見せた“王者らしさ”

 JリーグYBCヴァンカップファイナル

 川崎フロンターレにとっては、2年ぶりの決勝戦となる。準優勝に終わった前回の悔しさを知る選手たちも多く在籍しているが、この2シーズンクラブリーグ連覇を達成。キャプテンの小林悠を筆頭に、中村憲剛、家長昭博、谷口彰悟、大島僚太といったチームの骨格を担う選手たちは健在だ。

 決勝トーナメントから登場した今大会の勝ち上がりは、“鬼木フロンターレ”として成熟期を迎えつつあることを示したと言える。準々決勝では名古屋グランパスを1勝1分で退け、準決勝では鹿島アントラーズを撃破。特に鹿島戦では1stレグで試合巧者の難敵相手に逆転勝ちを収め、2ndレグでは隙を見せずに手堅く逃げ切るなど、王者らしい試合運びを見せた。

 クラブの歴史を振り返ると、2000年2007年2009年、そして2017年と、過去4度の決勝戦では、いずれも先制点を奪われ、そして1点も挙げられずに敗れている。2年前のセレッソ大阪戦では、開始直後に杉本健勇に決められた先制点を最後まで挽回することができずに涙を飲んだ。それだけに、先制点は大きなポイントになるだろう。今季は得点力低下に苦しんだ時期もあったが、第28節の湘南ベルマーレ戦で5得点を挙げたのをきっかけに攻撃陣も復調しており、この一戦でも攻撃的なスタイルを貫いて欲しいところ。ボールを保持して攻め込んでいく攻撃的な姿勢と、ボールを奪われた時の切り替え、加えて球際の強さで攻守両面において主導権を握って圧倒していく戦いができれば、自ずと結果はついてくるはずだ。決勝の舞台でも、チームとしてやるべきことは変わらない。

◆期待を集める東京五輪世代の新星

 難しいのは、現時点で誰がスタメンとして決勝のピッチに立つのかだろう。

というのも、直近のリーグ戦となったガンバ大阪戦で負傷者が続出したからである。登里享平、山村和也、新井章太が負傷を負い、守田英正もコンディション不良で前半のみで交代となっている。ルヴァンカップ準決勝で負傷した馬渡和彰の長期離脱も発表されており、最終ラインに負傷者が続出しているのは懸念材料だ。後ろからの安定したビルドアップがチームの生命線でもあるだけに、決戦の日までにどれだけの顔ぶれが万全の状態で戻ってくるのかは、一つの見どころとなる。

 選手個人で注目を挙げるとすれば、U-21歳枠で先発起用されることが濃厚な田中碧だろう。東京五輪日本代表候補にも名を連ねている新星ボランチは、今年ブレイク。足元の技術だけではなく、豊富な運動力と巧みな間合いで刈り取るボール奪取、そしてダイナミックな攻撃参加が魅力的なダイナモだ。五輪代表遠征に帯同していたため今大会の出場はないが、リーグ戦ではレギュラーの一角を担うなど著しい活躍を見せている。田中は昨年に記念すべきリーグ戦初出場で初ゴールを挙げているが、その時の相手が北海道コンサドーレ札幌だったというめぐり合わせもある。この決勝戦でラッキーボーイになることを期待したい。

 2年前、セレッソ大阪の一員として聖杯を掲げた山村和也は、決勝進出が決まった際に力強くこう述べた。

「決勝に進むことができたのはよかったですが、最後に勝たなければ意味がないと思っています」

 過去4度の舞台とは違い、リーグ王者として聖杯を掴みにいく。

文=いしかわごう

川崎フロンターレ 予想スタメン


▼GK
新井章太

▼DF
守田英正
山村和也
谷口彰悟
車屋紳太郎

▼MF
田中
大島僚太
家長昭博
中村憲剛
長谷川竜也

▼FW
小林

[写真]=Jリーグ