24日(木) から 2019年11月4日(月)まで、現在開催中の2年に1度の自動車の祭典『東京モーターショー』に、とある変化が見て取れる。同イベントをはじめとする車関連のイベントでは各ブースで美女のコンパニオンが案内し、カメラマンが撮影に群がる…というイメージが長年定着していたが、今年はその様子が目立って見られない。その代わりに、「子供でも楽しめるコンテンツ」が充実して、この週末は子連れファミリーの来場が目立った。某企業ブースの担当者が「子供がクルマ好きになってもらえたらそれでいい」ともコメントした、今年の「東京モーターショー」のファミリー向けコンテンツをリポートする。

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キッザニア東京とコラボのほか、ファミリーコンテンツ中心の会場も

例年東京モーターショーは、ビッグサイトの西館・南館のほか、東京テレポート駅近くにある青海特設会場の分館開催であるが、子供向けコンテンツが行われているのは、その東京テレポート駅近くの青海会場Aホールだ。

子供向けコンテンツは、いわゆる職業体験。お台場にあるキッザニア東京とのコラボレーションで、各自動車メーカーが、それぞれメーカー色のある体験教室を行っている。

その多くはタイヤ交換を始めとするメカニック体験。中にはレース車両を持ち込み、レースメカニックが指導しているブースも。

そのほかであるのは、デザイナー教室。こちらも現役カーデザイナーがイラストの描き方を指導するというから驚きだ。また、クレイモデルと呼ばれる粘土に触れられる場所もあった。メカニックの場合は、ちゃんと専用の作業着に着替えるから、服が汚れる心配もない。

■ 「大人の事情はどうでもいい、子供がクルマ好きになってくれれば…」

とあるメーカーの担当者に、この取り組みについて話を伺った。「最初、話を伺った時は本当にやるんですか? と思いましたね。色々な方に話を伺っても「子供向けだからメカニックがいいのかな」という話が出るいっぽうで、それを弊社がやるにあたっての落とし込み、独自色はどうだせばいいのか、というのは結構悩みました。企画を考えている時は「将来うちのクルマを買ってくれたら」という思惑とかありましたけれど、子供たちが真剣な顔で作業をする姿を見ると、正直大人の事情とかは吹き飛んで、クルマ好きになってくれたらそれでいい、と思います」と笑顔。また指導するメカニックの人たちも、普段の業務とはかなり勝手が違いながらも、笑顔で子供たちの作業を見守っている。その表情はどこかパパやママの目だ。

そして子供たちの姿を見守る家族の中には、カメラ片手に子供のシャッターチャンスを伺っている人も。母親は「パパはクルマ好きなのですが、私はあまり…。で、混雑した場所に子供を入れるのはちょっと気がひけますし私も疲れちゃう。こういう場所があることを今日知ったのですが、私は子供と一緒に今日一日、ここで遊んでいたいと思います。パパは……いまごろどっかのブースでクルマを見ていますよ(笑)」と、この試みに満足している様子。ちなみに青海会場のすぐ近くには芝生敷きの屋台村もあるので、そこでお昼やおやつを食べることができるのも、子連れのママには嬉しいという。

展示内容も、進技術や、未来に向けたテクノロジーの紹介が多い印象だ。深刻な“車離れ”が叫ばれている業界において、未来のユーザーに関心を持ってもらうためだろうか。

「東京モーターショー」は、11月4日(月)まで開催中だ。クルマ好き、乗り物好きの子供がいるファミリーはこの週末にも足を運んでみては。(東京ウォーカー(全国版))

F1マシンの横でドライバー体験ができるHondaのブース