日本弁護士連合会(日弁連)は10月30日シンガポールの航空会社であるジェットスター・アジア航空(ジェットスター)に対して、障害者が単独で航空機に搭乗できる条件に該当するかどうかを合理的に判定するためのマニュアルの作成などを要望したことを明らかにした。要望書は10月29日付。

●出国便では問題なかった単独搭乗が、同じ会社の帰国便では拒否

2014年6月、脳性まひの障害があって電動車いすを利用している日本人男性(40代)が、バンコク発福岡行の航空機に単独搭乗しようとしたところ、ジェットスター社の係員から単独でトイレに行くための条件を満たさないという理由で搭乗を拒否されるできごとがあった。

しかし、搭乗拒否をされた男性は、これまでにも何度も航空機に単独搭乗しており、バンコクに向かう際にもジェットスター社の福岡発バンコク行の航空機に単独搭乗したという。

男性は、ジェットスター社の搭乗拒否は障害者の移動の自由に対する差別的な取り扱いであるとして、2015年に日弁連に対して人権救済の申し立てをしていた。今回の要望書はその申し立てに基づくものだ。

●再発防止策を要望

日弁連は、ジェットスター社による男性への搭乗拒否は人権侵害に該当すると批判している。

同様のできごとが起きないよう、ジェットスター社に対して、(1)単独搭乗条件に該当するかどうかを合理的に判定するためのマニュアルを作成すること、(2)全従業員に対し、障害者の権利に関する法令・条約の趣旨の理解の徹底や上記マニュアルを実施するための研修を行うこと、を要望している。

吉村健一郎弁護士(日弁連・人権救済調査室室長)によると、海外の法人に対し、海外で発生したできごとについて日弁連から要望書を提出したのは今回が初めてだという。吉村弁護士は、「今回の要望書に対するジェットスターの対応について6カ月後に照会する予定である」と語った。

航空会社、障害者の搭乗拒否「行きは乗れたのに…」 日弁連が再発防止を要望