すがしま海上自衛隊ホームページより)

京都府舞鶴市の中学生が10月上旬、職場体験で訪れた海上自衛隊の艦艇で、機関砲の模擬体験をしていたことが取材でわかった。しらべぇ編集部は、舞鶴市教育委員会などから詳しい話を聞いた。

■「生徒が使用することは…」

市教委によると、10月上旬、2日間にわたって2年生の男子生徒2人が、舞鶴に配属されている掃海艇「すがしま」で職場体験を行った際、機雷を除去するために装備されている機関砲操作の模擬体験をした。

向きを手動で変えたり、レバーをひいて銃身を回転させたりした。実弾は入っていなかったが、薬莢(やっきょう)は排出させたという。

舞鶴市内に中学校は7校。そのうちの4校20人が海上自衛隊舞鶴地方総監部での職場体験を行った。すがしまの機関砲に触れられたのは、1校の2名のみ。

この行為に対して、市教職員組合は、「人を殺傷する能力がある銃器を公教育の場で生徒が使用することは許されない」として、事実関係の徹底調査や自衛隊で職場体験をしないよう求める要望書を市教委に提出した。

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■市教委と連携して実施

舞鶴市では中学2年時に全員が職場体験を実施する。生徒が希望を出し、教師が職場一つ一つと交渉に当たるが、実際の職場でのプログラムは、各職場に一任。今回の自衛隊での体験は、「機雷を除去するための機器であり、実弾も入っておらず、問題はなかった」としている。

一方、海上自衛隊舞鶴地方総監部広報は、取材に対して、

「現場の担当者が安全性に問題がないのを確認した上で、模擬体験を行った。一つの中学校だけに実施できたのは、たまたまその当時すがしまでの乗船体験が可能になったため。

今回の報道により、激励の声も頂いている。今後も市教委と連携しながらプログラムを考えていきたい」

と話した。

■キャリア教育の一貫

職場体験は、学習指導要領上のキャリア教育の一貫で行われている。文部科学省によると、2016年度の全国の中学校での実施率は、98.1%となっている。

児童生徒課の担当者は、「舞鶴市のように生徒の職場希望を先生方が、叶えてあげようとする姿勢は素晴らしい。そしてプログラムについては実施前、実施後に検証していくことが望ましい」と述べた。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

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