11日にすい臓がんのため亡くなった日本を代表する名脇役の夏八木勲さん(享年73)。

 その苦しい闘病生活については公にすることなく、入退院を繰り返しながら仕事を続けていたといい、最後の公の場は、今年3月24日群馬県高崎市で開かれた高崎映画祭の授賞式となった。原発事故を題材にした園子温監督の昨年公開の主演映画『希望の国』で最優秀主演男優に選ばれ、うれしそうな笑顔を見せていたという。

 13日付の日刊スポーツ、スポーツニッポン、東京中日スポーツサンケイスポーツデイリースポーツスポーツ報知各紙が報じており、がんの告知は、ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(フジテレビ系)撮影の最中で、終盤の撮影で体調を崩したものの、周囲につらい表情を見せることなく最後まで出演していたという。

 関係者によると、亡くなる2日前から体調が急に悪化。腹部の強い痛みを訴えたが、入院はしなかったという。亡くなる直前まで意識はあったそうで、妻まり子さんと娘に見守られる中、眠るように息を引き取ったという。

 この悲報に役者仲間らから悲しみの声が上がっている。

 ■文学座研究所で同期の江守徹
 「悲しい。残念です。それしか言葉が見つかりません。この世界に入って、一番最初に知り合った人だったので」

 ■主演映画『そして父になる』で共演した福山雅治
 「僕が出演したNHKの自然番組『ホットスポット』をご覧になっていただいて、『凄い場所だなあ、行きたいなあ』とうらやましがられていたのが印象的でした。それからご自身の南米のお話をしてくださって、その時の少年のままの瞳が忘れられません」

 ■映画『希望の国』の園子温監督
 「次回作もぜひ一緒にやりましょう、と言っていました。まだ、早い。早すぎる。男を演じたら彼の右に出るものはいなかった。男を演じられる日本最後の俳優。そういう人はもういない」