2019年はシリーズ1作目の劇場公開から50年という節目の年。50作目となる最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』の公開を12月27日(金)に控えるなか、これまでのシリーズ全49作を4Kレストアして山田洋次監督の総合監修で初BD化する途方もない計画が進んでいた。公開当時から映画館で作品を観ていた世代はもちろん、画質音質の劣化を理由にシリーズを観るのをためらう若い世代にも訴求する画づくりを目指したというだけに、デジタル時代の新作と比べても遜色のないクオリティ。08年には40周年を記念してHDリマスター版のDVDが発売されたが、4Kの高画質マスターを使ったBD化は、ファン待望と言えるだろう。この冬、新生『男はつらいよ』を味わってみてはいかがだろう?

【写真を見る】以前のマスターよりもさらに高画質に!

 

■ 4Kデジタル修復のスゴさを知る! (1)コマ飛びや揺れを補正

以前のマスターはフィルムからテレシネしていたが、今回は4Kスキャンでさらなる高画質化が実現。コマ飛びは前後のフレームを取り込んだ画像を加工して欠落した部分を再現。揺れもなくなった。

 

■ 4Kデジタル修復のスゴさを知る! (2)シリーズ全体の統一感を出す

長寿シリーズのため、カメラなどの撮影機材やフィルムの種類も変わってきている。とらや(後にくるまや)のセットは同じものなので、同じ色調になるようカメラマンらの監修のもとで調整が施された。

 

■ 4Kデジタル修復のスゴさを知る! (3)細部に込められた“物語”の発掘

第31作でタコ社長(太宰久雄)が当時のベストセラー『気くばりのすすめ』を読んでいたことが判明。寅さんが向かいの江戸屋のおばさんと話をしている内容も聞き取れるようになり、新たな発見が!

 

■ 復刻“寅んく”と封入物

ボックスを松竹DVD倶楽部で買うと、先着で名刺ケースが付く。抽選で30名様に2020年春開催のイベント参加権(※イベントは2020年春頃都内にて開催予定)も当たる。

 

■ 新生『男はつらいよ』はココが違う 第1作『男はつらいよ』(69)

冒頭、帝釈天お祭りでは情報量の多さと立体感に驚く。とらやの会話シーンでは各キャラにピントを送っているのがはっきり分かり、横長のシネスコサイズが効果を発揮する。クライマックスのさくら(倍賞千恵子)の結婚式では衣装や会場内のディテールが鮮明に。

 

■ 新生『男はつらいよ』はココが違う 第9作『男はつらいよ 柴又慕情』(72)

吉永小百合マドンナ役、歌子を演じた第9作。金沢で寅さんと歌子たちが出会う場面では、8mmカメラや食堂内の看板などの小物に思わず目が行ってしまう。歌子が寅さんに彼氏の存在を打ち明ける夜のシーンでは、いかにもセットに見えた夜空が自然になっている。

 

■ 新生『男はつらいよ』はココが違う 第25作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(80)

最多登場ヒロイン、リリー(浅丘ルリ子)の3度目のエピソード。博(前田吟)とリリーが再会する小岩や沖縄の街並み、海の青さは圧巻。ハイビスカスの赤が微妙な色合いまで表現され、4Kの色域効果が抜群。場面ごとに変わるリリーの衣装の鮮やかさにも目を奪われる。(Movie Walker・文=飯塚克味【DVD&動画配信でーた編集部】)

シリーズ最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』が12月27日(金)に公開!