閣僚辞任が相次いでも、政権交代の追い風が一向に吹いてこないのが野党の現状だ。だが、その片隅で「山本太郎」という不思議な風が渦巻いている。

ニューウィーク日本版」(11月5日号)やファッション誌「GQ JAPAN」(12月号)が相次いで表紙に山本氏の顔をあしらい大特集を組んだ。12月に発売の自著も、早くもアマゾン売れ筋ランキング総合100位内に一時入るなど、他の野党党首を凌ぐ「数字」を持っている。

 山本氏に手応えを聞くと、「“手応え”みたいなもんは信じない。それが本当なら、私は(参院選で)受かったはず。あくまでリアルを見つめ、議席を増やすことを考えている」と語る。

 9月から毎晩の如く各地で遊説を続け、ネットで生配信している。参加者の質問に応じる形式で、一回当たり2時間超。返答は、小泉進次郎環境相の演説よりも具体的だ。終了後には1時間かけて全員に名刺を配り、記念撮影にも応じる。

 11月6日時点で全国26カ所を回った。北海道、九州、沖縄の会場を覗くと、都市部では常に200人以上を集め、野党の現職議員も姿を見せていた。

 山本氏は街頭で、「消費税を10%から5%に落とす。これを旗に立てたら政権交代の芽が出てくる。野党の先輩方は優秀でも、今まで旗が間違っていた。本気で権力を獲りに行きましょうよ」と、挑発的に繰り返す。

しかし「れいわ」の支持率は半滅

 10月30日には、無所属の馬淵澄夫元国交相と消費税5%を野党結集の旗印に掲げる「消費税減税研究会」を設立。野党三党から22議員が参加した。国民民主の玉木雄一郎代表も減税に理解を示すが、立憲民主の枝野幸男代表は否定的で、所属議員には同研究会への参加を許可制にした。

「まぁ、脅威だと思ったんじゃないですか」(山本氏)

 だが、「リアル」は厳しい。共同通信世論調査ではれいわの支持率が参院選直後の4%超から約2%に半減。政権政党に必要な「2000万票」という水準には一桁足りない。「保守派にも浸透しうる」と唱える専門家もいたが、「集会に来ている人は共産党社民党に近い左派系が約7割」(参加した野党議員)。参院選で4億円も集めた寄付金も、「100人擁立」を目指す次期衆院選までに20億円を目標に掲げるが、伸び悩む。山本氏に改めて聞くと、

「政治の世界だから、いろいろありますが、消費税5%にして人々を救えるならどう思われたっていい。それができなければ、6年も政権交代に失敗した野党の旧体制とも対決しますよ」

 この不思議な風が野党の追い風となるか、向かい風となるかはまだ見通せない。

(常井 健一/週刊文春 2019年11月14日号)

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