学生時代、奨学金を借りていたという人は意外と多いはず。学生支援機構の発表によると、学生の2.7人に1人が貸与奨学金を利用しているとか。

通帳 お金
※画像はイメージです
 借りたお金は返さなければなりません。ですが、同機構の奨学金利用者のうち3.4%が3か月以上返済を延滞(※2017年度末時点)。ちゃんと返している人でも「おかげで毎月生活が大変」なんて声をよく耳にします。

総額500万円の奨学金

奨学金
※日本学生支援機構、平成31年3月資料より
 通信設備会社に勤務する菊池聡さん(仮名・30歳)は、自身が高校生のころに父親がリストラに遭いました。大学時代の4年間は奨学金とアルバイトで乗り切りましたが、就職後に毎月の返済で苦しむようになります。

「奨学金は毎月8万円で、これに加えて入学時にも借りていたため、総額は約500万円。これにさらに利息がプラスされます。月々の返済額は2万4000円弱で就職してから毎月返済していましたが、1人暮らしでしたし、通勤用に必要な車の維持費もありました。おかげで手取り20万円足らずの収入ではギリギリの状態でした」

 しかも、この返済ペースでは完済が20年後。確かに、40代サラリーマンの平均年収に相当するほどの借金があっては、結婚やマイホーム購入など自身のライフプランにとっても大きなマイナスです。

「かといって奨学金を前倒しで返済する余裕もありません。それで返済のために副業を考えるようになったんです」

 投資や転売などは考えておらず、菊池さんが考えていたのはあくまで普通のアルバイトネット上やフリーペーパーで求人を探すもコレと思うものがなかなか見つけられなかったそうですが、ある募集記事にふと目が留まったといいます。

冬季限定バイトで毎年50万~60万円

石油タンク
Tamaki Sono CC BY 2.0
「そのバイトとは、灯油の巡回販売。大きなタンクを積んだ軽トラなどで住宅街を走りながら移動販売するやつです。ストーブなどを使う冬場限定のバイトでしたが、そこは最低保証が日給1万円。一定数以上売れたら歩合給がプラスされ、土日祝もOKとありました。私は高校時代、ガソリンスタンドアルバイトしていた時期があって、危険物取扱の資格を持っていました。だから、業務内容にもまったく抵抗はありませんでした」

 勤務先の会社も条件付きで社員の副業を許しており、仕事のない土日祝のみと説明するとあっさり認められたそうです。

「灯油の移動販売は冬場限定で、アルバイトも毎年11月中旬~3月中旬の4か月だけ。働くのは基本的に週末で、会社が休みの年末年始には帰省せずに連勤していたので1シーズンで50万~60万円は稼げていました。仕事をしているうちに高齢者の多い住宅街はよく売れることがわかり、そういった地域を重点的に回っていました」

 バイト代の8割を奨学金の返済に回した結果、なんと2年前に完済したというから驚きです。

「会社の給料やボーナスも少しづつ増えていたので、そっちの分からも返済に充てていたことも大きかったと思います。当時、交際していた彼女とできるだけ早く結婚したいという気持ちがいい意味でモチベーションになりました」

バイトは土日いずれか1日だけ

奨学金

 そのため、灯油の移動販売のバイトも終わり。二度とするつもりはないといいます。

「寒さが厳しい日は灯油が売れて歩合給が付きやすく、バイトとしては悪くなかったですけど、やっぱり土日はゆっくりしたいですから。遊ぶ金欲しさや貯金ではなく、奨学金返済が目的だったので未練も特にありません」

 菊池さんの場合、副業するにあたって「本業に支障をきたすほどの無理をしない」とのマイルールを設定していたそうで。毎週土日のうち、いずれか1日しかアルバイトをしなかったのも自身が決めたルールによるもの。

 なかには平日は会社、土日はバイトと無休で働き続け、身体を壊してしまう人もいます。これでは返済が滞ってしまう可能性だってあるでしょう。そう考えると、彼のやり方は賢いのかもしれません。

「自分の出勤ペースでも返済期間が大幅に短縮されることはわかっていたので、それを継続させるほうが大事だと判断したんです。まあ、本当は彼女とのデートや友達と遊ぶ時間が欲しかったというのもありますけどね(笑)

 最近は副業OKの職場も増えています。まとまった借金があり、返済に悩んでいる人にとって、週末バイトは早期返済の手段のひとつになりうるはず。検討してみる余地は十分にありそうですね。

TEXT/トシタカマサ>

【トシタカマサ】

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中