「私の代わりに犬の散歩30分お願いします」。短時間の宅配サービスを提供する「閃送員」の楊さんは、こんな「代行サービス」の依頼を受け取った。依頼人は「犬の散歩は面倒くさいから」お願いしたといい、提示された料金は20元(1元は約15.5円)だった。楊さんは依頼人の家に行って犬を預かり、近所で真剣に任務を遂行し、職責を果たすため依頼人に動画も送った。動画を見ると、犬はうれしそうに走り回り、楊さんはリードを引きながら、しきりに「こっちこっち」と犬に呼びかけていた。「中国青年報」が伝えた。
犬の散歩代行、代わりに荷物を引き取り、代理で食事、雪だるま作りを代行……こうした思いもよらないような「代行サービスのお願い」が実際に存在し、そして個人的な要求のレベルがどんどん高くなっている。面倒くさいから、時間がないから、心情的に求めているから、「代行経済」が機運に乗じて誕生した。
多くのインターネットラットフォームから代行経済の盛り上がりがうかがえる。たとえば10月30日の一日だけで、閃送サービスのプラットフォームでは北京市での代行サービスの依頼が6000件以上あった。この新しいタイプの経済現象は、「消費する人がいれば、それにお金を使いたいと思う人が出てくる」ということを証明している。
▼「代行」のクリエイティビティに少数の人がお金を払う
大学生の落落さんはこのほど「代理で食事」の依頼を受け取った。ダイエット中の青年がネットチャットで落落さんに「何でも好きなものを食べる」よう依頼してきたのだ。落落さんは青年とのやりとりの後で「フライドチキン」を選び、青年から受け取った20元を持って買いに行き、写真を撮った。青年は落落さんがフライドチキンをがつがつ食べている写真を見ると、「満足した。頑張って食べて。自分は晩ご飯もない」とコメントした。
青年は落落さんが中古品取引アプリの閑魚で「食事代行サービス」をしますと発信していたので、落落さんに連絡を取り、フライドチキンに10元払い、残りの10元は落落さんの「食事代行のギャラ」とした。双方ともこの取引に満足で、青年は「良心的な売り手!しっかり食べてくれた。唯一の欠点は自分でお金を払って自分で面倒を招いたこと」と評価した。
落落さんが「食事代行サービス」をしているのは先天的な優位性があるからだ。彼女はずっと体重を46キログラムで維持してきたが、最近は400グラム痩せてしまったという。食事代行サービスをしても太る心配はなく、お腹もお財布も一杯になるこの業務は長く続けられるだろうし、いろんな面白い人にも出会えるだろうと期待している。
ネットワークラットフォームで「食事代行サービス」を打ち出す人は多く、料金は0-2元ほどだ。サービス提供者は笑顔の絵文字と一緒に「食べ物よ、かかってこい!来る者は拒まず」などと書き込み、高カロリーの食べ物の写真を数多く添えている。
ユーザーが開発した各種代行サービス
「代行サービス」の主な提供プラットフォームは淘宝(タオバオ)や閑魚及び各種のデリバリープラットフォーム、代行プラットフォーム、宅配便プラットフォームなどだが、こうしたプラットフォームはプラットフォームと人材を提供するだけで、各種各様の思いもかけないような個人向けサービスユーザー自身が開発することが多い。
複数のプラットフォームと大勢のライダーを取材したところ、実際に存在する個人向けのさまざまなサービスを知ることができた。ジョギングで体を鍛えたいが一緒に走る人がいない人が「伴走代行サービス」をしてくれる人を探す。家庭料理が食べたいと思って「料理代行サービス」をしてくれる人を探す、大都市で働く人が一人で病院に行くのがいやで「病院付き添いサービス」をしてくれる人を探す。車が故障したが自分ではどうしていいかわからなくなって「牽引代行サービス」をしてくれる人を探す。「洗濯代行サービス」、「生牡蠣をむくのを代行するサービス」の依頼もある……
閃送の対外事務ディレクターの劉学住さんは、「こうした依頼は予想もしていなかったものだ。閃送を利用するユーザーは比較的急いでいる人が多く、代行の依頼は業務のごく一部分に過ぎない。閃送での代行の依頼をみると、ちょっとした手伝い、列に並ぶ、つきそう、代表して気持ちを伝えるなどが大半を占めている」と話す。
劉さんは続けて、「消費高度化にともなって新たな概念『ものぐさ経済』が登場した。『ものぐさ経済』の最も重要な点は消費者の『お金で解決できることなら問題にはならない』という考え方をがっちりつかまえたことにある。今時の若者はお金を出してでも時間がほしいという人たちで、閃送の代行業務は完全に以前からのユーザーによって開発されたものだ」と述べた。
一部のプラットフォームと個人は極めてニーズの大きな個人向けニーズを標準サービスに組み込んだ。たとえばオンラインフードデリバリープラットフォーム「Eleme」の「購入代行サービス」では、「ネット人気店」という項目があり、依頼人に変わって喜茶、スターバックス、奈雪などの有名ブランドの商品を購入し、サービス料金は他の会社より少し高い。
それだけではない。こうした代行サービスにはイベントや季節と関係があるという明確な特徴がある。正月が近づくと、親族訪問代行サービスが人気を集める。親族訪問を回避したい多くの人がネットで注文し、代わりに行ってもらう。冬になると、雪だるま作りを代行するサービスが人気になる。降りしきる雪の中、北国の人が雪景色を楽しむ、雪の中に文字を書く、雪だるまを作るなどのサービスを提供し、陽光がさんさんと降り注ぐ南国の人々に雪のムードを味わってもらう。「雪を踏んだ時のキュッキュッという音」を映像に収めるサービスもある。
こうした「代行サービス」のコンテンツは高度なオーダーメイド化が流れで、依頼人の個人的な要求を満たすようになっている。たとえば依頼人が雪だるまに自分の名前を書いて欲しいと要求することもあれば、お見合い代行者に身だしなみについて具体的に指示することもできる。
杭州市で達達プラットフォームのライダーとして働く曽勝さんがこれまでに受けた最も意外な依頼は、「忙しいので代わりにご飯を作って」だった。「これはユーザーが私たちを非常に信頼してくれていることの証しだ。1つの都市の中での代行サービスはいろいろな方面に及び、単に代わりにモノを運ぶというだけでなく、ユーザーが明確なニーズを出し、それに見合った料金を支払ってくれるなら、自分たちドライバーはたくさんの個人的ニーズに応えることができる」という。(提供/人民網日本語版・編集KS)

「私の代わりに犬の散歩30分お願いします」。短時間の宅配サービスを提供する「閃送員」の楊さんは、こんな「代行サービス」の依頼を受け取った。資料写真。