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 「アレクサ」と音声で呼びかけてから話しかけると、様々なリモート操作が可能となるAmazonのスマートスピーカーEcho」。

 過去にも、ちゃっかりさんの子供が宿題のアシスト代わりにしたりと、使い方次第では悪用も可能となってしまいがちなテクノロジーだが、実は暴力事件から被害者を守るといった人命救助にも役立ったという出来事も伝えられている。

 そして今年7月、アメリカのフロリダ州で起こった殺人事件は、そのスマートスピーカーが事件の重要参考人(物)となり得る可能性が高いようだ。

 警察は、現場アパートにあったアレクサを押収、現在デバイスの録音内容を調査中である。

 果たして、「家政婦は見た!」ならぬ「アレクサは聞いた!」で、警察は事件の真相を知る手掛かりを掴むことができるのだろうか。

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夫婦のアパートで殺人事件発生

 フロリダ州ハランデールビーチで、同州警察が女性の遺体を発見したのは、2019年7月12日のことだった。

 被害者のシルビアガルバクレスポさん(32歳)は、11日の夜に夫アダム(43歳)と外出していたが、帰宅後口論となった。

 そしてそれはエスカレートし、暴力的なものへと発展。最終的には、シルビアさんが命を落とすという最悪の結果になった。

 アダムが警察に話した内容は、概ね次の通り。

外出後、喧嘩になった。シルビアは寝室にあった長さ30cmほどのスピアー(槍)を持ってベッドに座っていた。

スピアーを彼女の手から奪おうとして揉み合いになった。その時、木製部分の取っ手が壊れ、飛んだ。その衝撃でスピアーの刃がシルビアの胸に刺さった。怪我がそんなに酷くないことを願いながら、彼女の胸からスピアーを引き抜いた。


 この後、アダムはアパートにいたもう1人の人物に緊急通報するよう頼み、その間シルビアさんの蘇生を試みたが、既に手遅れの状態で、シルビアさんはそのまま息絶えたという。


Amazon's Echo device may have been a silent witness to murder | ABC News

アパート内にあったアレクサが重要な証拠を握る!?

 アダムから事情聴取をした警察は、意図的ではなかったとしても、結局はアダムの行動がシルビアさんの死を引き起こしたとしてアダムを殺人容疑で逮捕し、第2級殺人罪で起訴した。

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 更に警察は、11日~12日にかけて起こった出来事の真実を追究するため、夫婦のアパート内にある2台のAmazonデバイスを押収し、捜査令状取得後にAmazonからアレクサ音声コマンド入りのEcho録音を入手。

 その音声記録が事件のカギを握る重要な手掛かりになるとして、現在も警察では送信された情報を分析中だという。

 今回の件については、Amazon側は次のように述べている。

通常は、当社は法的に有効で拘束力のある命令でない限り、政府の要求に応じて顧客の情報を一切開示しません。当社は当然ながら、過度もしくは不適切な要求には反対します。

また、「アレクサ」、「コンピュータ」、「アマゾン」といったウェイクワードをデバイスが検出しない限り、音声がクラウドサーバーにストリーミングしたり録音したりされず、また一旦録音が削除されると復元できません。


 犯罪の重要な証拠となり得る可能性のあるアレクサの事情聴取、もとい、録音記録の分析には、まだしばらく時間がかかるようだ。

 現在、アダムには65000ドル(約707万円)の保釈金が課せられているが、次の裁判予定は明らかにされていないということだ。

 アレクサは2017年にも殺人現場の証拠を握る重要参考物として裁判所への出廷を命じられている。


written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52284374.html
 

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