- 伝説上の存在であった女戦士「楯の乙女」の人骨を元に復元された顔画像が公開
- 女性の年齢はまだ18か19歳だったが、隊をまとめる総長だった可能性もある
スカンディナヴィアの伝承に登場する女戦士、「楯の乙女(shield-maiden)」を知っていますか?
今回、スコットランド・ダンディー大学の研究チームにより「楯の乙女」と思われる人骨を元に顔の復元が行われました。
この女性は、900年頃に戦死したヴァイキングの女性。なんと彼女は弱冠18歳で軍の「総長」であった可能性もあるようです。
19歳で軍の総長だった可能性も
遺骨は1900年にノルウェーで発見され、2017年の分析で女性のものであることが判明しています。
頭蓋骨は楯の上に寝かされており、足元には馬の骨、胴体は多くの剣や槍、斧、矢に囲まれていました。そして、頭蓋骨の額部分には、おそらく致命傷となった傷が刻まれており、彼女が戦士として死んだことを示しています。
そのことから、研究チームは、人骨が「伝承上に登場する楯の乙女のものではないか」と推測しました。また、女性の年齢はまだ18か19歳頃でしたが、戦士らしい強靭な顎を持っていることが分かっています。
額の傷は剣による殴打と特定されましたが、治癒した痕跡もあったため、最終的な死因ではないようです。
研究チームは「この発見は、ヴァイキングの戦士が必ず男という定説を覆すものだ」と指摘します。
さらに、この若き女戦士は、屈強な男に混じって戦士に選ばれただけでなく、隊をまとめる総長だった可能性もあると言います。女性の人骨の隣には、当時、高位軍人だけに貸与を許された「チェス・ボード」に相当する遺物が共に埋葬されていたのです。このボードは、戦術や作戦を練る際に高位軍人が使うものとして知られます。
確かに復元された精悍な顔は、戦士としての力強さだけでなく、理知的な聡明さもたたえています。
まだ20歳にも満たないこの女戦士は、一体どのような人生を送ってきたのでしょうか。
「楯の乙女」の遺骨は、今月22日までノルウェー・オスロにある「Museum of Cultural History」に展示されています。
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