東京商工リサーチの調査によると、同業他社などとの競争激化を背景に小規模な美容室の倒産が増えており、過去最多件数を更新しそうな勢いとなっていることが分かった。

■過去最多の倒産件数に迫る勢い

 11日、東京商工リサーチが美容室の倒産状況について発表した。2019年1月から10月における美容室の倒産件数は92件で、前年同期比29.5%増となっただけでなく、2000年以降で同じ期間における過去最多だった2011年の81件を上回った。年間での倒産件数は2018年の95件が過去最多となっており、残り3カ月でこれを更新し、初の100件越えにも迫る勢いとなっている。

■休廃業・解散件数も急増中

 2000年から2018年における美容室の休廃業・解散件数の推移をみると、2000年には8件だったものが、08年には40件にまで増えた。さらに12年の休廃業・解散件数は79件となり、それまで休廃業・解散件数を上回っていた倒産件数の72件を逆転した。その後もほぼ増加が続き、16年には224件と初めて200件を越えている。17年こそ197件と前年比マイナスとなったものの、18年には242件にまで増えている。

■小規模な美容院の倒産が9割超

 1月から10月までに倒産した92件のうち、負債額が1億円未満の業者が87件(全体の94.5%、前年同期比27.9%増)、資本金1,000万円未満の業者が88件(同95.6%、31.3%増)となっており、個人経営や小規模な美容室の倒産が9割を超えている。

■コンビニの4倍以上となる店舗数

 倒産の原因では販売不振が92件中75件(全体の81.5%、前年同期比19.0%増)と最も多かった。その他には赤字が累積した既往のシワ寄せによるものが7件、運転資金の欠乏などによる過小資本が3件となっている。

 美容室の店舗数は25万1,140店とコンビニエンスストア(5万5,711店)の4.5倍に達し、労働集約型の産業であることから人手不足と人件費負担も悪要因に。さらに1,000円カットの伸長にも触れ、柔軟なサービス提供や顧客へのアピール力が必要と指摘している。

美容院の倒産件数が急増、2000年以降で最多の勢いに 東京商工リサーチ調査