世界一の人口を擁する中国では、国民を飢えさせないためにも農業は重要な産業として位置付けられている。その農業の現場にいる中国人にとっては、日本の農業には学ぶべき点が数多くあるようだ。

 中国メディアの今日頭条はこのほど、農業研修のために日本を訪れた中国人による手記を掲載し、日本の農業従事者との交流を通じて「日本と中国の農業には様々な違いがあることが良く分かった」と伝えた。

 研修のために訪日したという中国人筆者は、中国国内では農業従事者に技術指導を行う立場にある人物のようだ。それゆえ中国の農業の現場を知るだけではなく、農業従事者がどの程度の暮らしをしているかもよく知っているのだという。そして、日本で研修を行い、日本の農業従事者たちと交流を持ったことで、「日本と中国の農業の違い」を目の当たりにしたそうだ。

 記事は、少子高齢化が問題となっている日本では農業従事者の平均年齢も中国よりずいぶんと高かったとしながらも、日本では農業に対する偏見はほとんどないが、中国では伝統的に「農民」という身分に対して一定の偏見が存在すると指摘。だからこそ若い世代は農業をしたがらないと論じた。

 日本の農家は一般的に「栽培する作物の種類を絞っていて、中国のように何でも栽培するようなことはしていなかった」と紹介する一方、日本では生産と販売の分業体制が存在するため、収入は比較的安定していて、場合によっては公務員よりも大きな収入を得られることもあるのは中国との違いだと指摘。中国の場合は都市部で働いたほうが圧倒的に多くの収入が見込めることを強調した。

 そして、中国の農業従事者が日本の農業にもっとも学ぶべき点は「品質に対する考え方と、生産過程におけるルールや決まりごとの遵守意識である」と強調。日本の農業従事者は「質の高い作物」を生産することを大切にしており、何よりも品質を重視していると指摘、「質の悪い作物は捨ててしまうほど」だと紹介。農薬を大量に使用してまで生産量を最優先とする中国の農家や農業が将来的にさらに発展していくためには日本の農業を参考とすべきであると伝えている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

視察して分かった、日本と中国の農業における様々な違い=中国メディア