2019年11月10日(日)、PlayStation 4ソフト「DEATH STRANDING(デス・ストランディング)」の発売記念イベント「『DEATH STRANDING』World Strand Tour(ワールド・ストランド・ツアー) 2019 TOKYO」が開催された。

PS4「DEATH STRANDING」発売記念イベント「World Strand Tour 2019 TOKYO」より

MCの松嶋初音さんによる呼び込みで登壇した小島秀夫監督は「繋いでますか? 繋がってますか?」とテンション高く挨拶。続いて、日本語吹き替えを担当したサム・ポーター・ブリッジズ役の津田健次郎さん、ダイハードマン役の大塚明夫さん、アメリ役の井上喜久子さん、フラジャイル役の水樹奈々さん、クリフ役の山路和弘さん、デッドマン役の石住昭彦さん、ヒッグス役の三上哲さんという、豪華すぎる7名の登場に会場が沸く。

発売を迎え、制作を共にしてきた声優陣も本作のプレイを楽しんでいる。三上さんはまだ序盤で、自分の演じたヒッグスがいつ登場するのか気になっている様子。井上さんは「ゲームが得意なお友達に一緒にやってもらいながら進んでいる」とのことで、まずはストーリーを楽しもうという計画だ。

続いては、ゲーム中の音声言語設定の話題に。吹き替えを担当した声優陣は、日本語と英語どちらの音声でプレイしているのだろうか? 自分の演技を聞くと落ち着かないという津田さんは「日本語じゃないほうが落ち着いてできるんじゃないかと。ほかのみなさんの(芝居)はぜひ聞きたいんですけど、最初はやっぱり恥ずかしくて」と、英語ボイスでのプレイに興味あり。

ゲーム開始後も言語設定の切り替えができることに驚いたのは山路さん。日本語音声でプレイを始めたが、津田さんと同じく自分の声を聞くとそわそわしてしまい、英語音声で遊びたいとのこと。ただ、「津田くんの荷物を持って疲れた声が生々しくて、やっていると(こちらも)一緒に疲れるんだよ(笑)」という理由もあるようだ。続いて、ファンからの質疑応答が行われた。

■自身の演じたキャラクター以外で、お気に入りのキャラクターは? 小島監督が一番好きなキャラクターは?

この質問に、まずは小島監督は「僕はみんな好きですよ!」と即答。津田さんも悩んだ末に「選ぶのは難しいですね。とくに僕の場合はみんなと絡むので、それぞれ思い入れがあります」と答えた。名前が多く挙がったのはBB。井上さんと水樹さんの女性陣が揃ってBBに癒されると推し、「母性本能がくすぐられるんだと思います」(水樹さん)、「そうそう! 産んだ気になるよね!」(井上さん)と大はしゃぎ。また、石住さんのお気に入りもBBで、「お乳をあげたい」と語り会場をざわつかせた。

■これまで出演してきた作品と今回の収録で、変わったと感じたことは?

小島監督は「一緒ですよね?」と言っていたが、大塚さんが言うには大きな違いがあったという。大塚さんが主人公を演じてきた作品は、大塚さんの演技に合わせて映像を作り、英語音声は海外のキャストがそれに合わせて吹き替えをしていた。しかし、今回は逆。海外キャストのセリフが先にあり、日本語版の声優陣が吹き替えている。英語のセリフで作られた映像の尺に合わせて吹き替えるのは、「こぼれても短くてもいけないのは大変。監督は自由って言うんだけど、自由じゃない」(大塚さん)との苦労があったそうだ。

井上さんが「変わらないのは誠実さ。(小島監督が)命を削るように仕事をしているのがわかって、いつも栄養ドリンクを飲みながらボロボロになって……」とのコメントに大塚さんがすかさず反応し、「心配になるよね。何度も言うけど、あれ毎日飲んじゃダメなんだからね!?」と小島監督を叱る場面も見られた。

■主人公のサムを演じるにあたって、小島監督からのオーダーは?

小島監督が「津田さんに決めた時点で、もう大丈夫」といえば、津田さんも「ノーマンさんの声があるのと、ものすごいクオリティの画に合わせて演じることができた」と答え、お互いの信頼が感じられる回答に。また、小島監督はよりフィットするように随時調整してくれたといい、津田さんは「本当に楽しい現場でした。終わってしまったのがさみしいです」と回想していた。

そうして質疑応答のコーナーが終わったところで、小島監督ギネス世界記録に認定されたという発表が! ギネス世界記録の公式認定員が会場に訪れ、認定式が執り行なわれることとなった。認定されたのは、「Twitterのフォロワー数が最も多いゲームディレクター」と「Instagramのフォロワー数が最も多いゲームディレクター」という2つの記録。このグローバルなSNSにおいて、全世界の名だたる同業者の中で最も多くのフォロワーを持つことは、その国際的な支持や影響力、そしてその人との絆を示す象徴的な指標になるとされ、各界の著名人が表彰されてきた。今回は小島監督がゲームディレクターとしての最多記録を持つことが称えられ、公式認定証が贈呈される運びとなった。

登壇者を代表して、大塚さんからお祝いのコメントが。「監督のTwitterが始まってから徐々に伸びてきて、あるとき英語版のアカウントを作ったら爆発的に伸びて、すげぇすげぇと思っていたら、なんとギネス! 俺たちの小島秀夫がどんどん世界の舞台に駆け上っていって、それを支えているのが報われている感じがして嬉しいです。おめでとうございます!」と祝福すると、小島監督は「Twitterはしんどいからやめようと思っていましたが、続けます!」と宣言し、満面の笑顔を見せた。

イベントの最後には、あらためて「DEATH STRANDING」が発売を迎えたことについてのコメントが登壇者全員から述べられた。この中で大塚さんは盟友でもある小島監督を「新生コジプロが生まれて、小島秀夫監督の背中に孤独の"孤"という字が書いてあったような時期があった」と語り、「今回コケたら……というギリギリの中で、チームが繋がってひとつになって、そして世界中のユーザーの人たちもひとつに繋がって、この日を迎えられたことは、本当に俺は嬉しい」と感極まり男泣き。小島監督も目を潤ませ、声を詰まらせながら発売に至るまでを振り返り、感謝の言葉を述べた。

小島秀夫監督オフィシャルインタビュー(抜粋)】

──2つのギネス世界記録に認定されたことへの感想と、フォロワー数世界一のゲームディレクターとして今後どのようなことをSNSで発信し、繋がりを深めていきたいかをお聞かせください。

小島 素直に嬉しいです。SNSは諸刃の剣というか、使い方しだいですが、繋がっていくのは悪いことじゃないと思います。僕の場合は、読んだ本や見た映画についてつぶやくと、僕のファンがどんどん拡散してくれて、最終的にはその作家さんに届く。そこからDMで友達になるような、そんな繋がりが可能な時代です。SNSが本来持っているパワーというのはポジティブなので、繋がることの良さをみなさんに拡散していきたいと思います。けっこう疲れてきていましたが、やっぱりもうちょっと頑張りたいです。

──本作にはノーマン・リーダスをはじめ、映画界で活躍するキャストが大勢出演しています。監督自身は、映画とゲームの垣根をどのように考えていますか?

小島 ずっと言い続けていることですが、映画とゲームは、インタラクティブの部分で180度違うものでした。フィルムとデジタルだったので。今は両方デジタルになって、将来はストリームという同じ場所に集まるはずです。映画は映画でスクリーンや劇場に残りますし、今のゲームも残りますが、その間がどんどんなくなってきて、どちらでもないデジタルのエンターテインメントが出てくると思います。映画とゲームは、プロセスが途中まで一緒なんです。世界観を作ったり、モデルを作ったり、パフォーマンスキャプチャーも映画でやっていることです。ただ、ゲームは最終出力がインタラクティブなだけです。途中まで一緒ですし、同じテクノロジーを使いますし、そうなると当然、同じクリエイターや同じキャストがストリームの中に入ってきます。そこに垣根というものはなくなって、すごく広い大地で繋がる、そういうものになると思います。僕は映画とゲームの橋渡しをするというか、そういうことをしないといけない世代だと思うのでやっていますが、5年、10年も経てば、こうした議論はなくなるかもしれません。

──人を殺すゲームはたくさんありますが、「DEATH STRANDING」は人を殺すことのペナルティが重くなっています。これにはどんな理由があるのでしょうか。

小島 僕は棒となわの話をよくしますが、人間はそれ以前に四つ足だったのが直立歩行になり、両手が自由になって、それで棒を持ちました。これが最初の武器というか、道具です。棒で嫌なものを遠ざけて、次はなわを発明して、好きなものをなわで繋いでおけるようにした、と。この2つで今の世界があります。人間の手は、グーを握ってパンチするのが棒、握手するとなわです。棒となわの両面を持っていて、それが人間の生まれた宿命のようなものです。どう使うかは僕らに任されているわけですが。このゲームは、なわをテーマにしているので、棒を使うことをポジティブにしてしまうとゲーム性としてよくないですね。ただ、そこまで強く意識しているわけではありません。

──ゲームのクリア後も、任務を続けたい人やほかのプレイヤーと繋がりたい人がいると思います。今後、何らかのアップデートや施策をする予定はありますか?

小島 ストーリーは終わっても、配達任務はずっと続きます。たくさんのミッションがありますし、隠れているプレッパーズもいますし、プレイヤー同士のミッションもあるので、ストーリーが終わっても長く遊べる作りにはなっています。DLCという意味では考えていませんが、あったほうがいいですか?(笑)(WebNewtype)

PS4「DEATH STRANDING」発売記念イベント「World Strand Tour 2019 TOKYO」より