従来の専業主婦と同程度の家事・育児をこなしながら働く女性は、もはや珍しい存在ではなくなりました。
働く母親を指す「ワーキングマザー」「ワーママ」といった言葉も頻繁に耳にするようになっています。

株式会社ウェルネスライフサポート研究所の「働く母1000人実態調査」によると、罪悪感や不安感といった悩みを抱えながら働く女性が多い事実が浮き彫りに。ここでは、働く母たちのリアルな働き方や健康状態などを明らかにしていきます。

調査の結果「罪悪感」「不安感」といった悩みを抱えながら働く女性が多いことが分かりました。

働くママの8割以上が心身不調。1000人にリサーチしてわかったこと

8割以上の働く母親が心身不調

働く女性

xiangtao / PIXTA(ピクスタ)

今回の調査は、末の子どもが0~12歳の子どもを持ち、育休後職場復帰した有職女性1030人を対象としています。職業は会社員および公務員です。

調査ではまず、妊娠中、育休復帰後、現在のそれぞれで心身の不調を感じている(いた)女性を調べました。すると妊娠中には93.3%、育休復帰後は86.4%、現在でも82.2%という結果に。
ほとんどの働く女性は産前産後に関わらず、出産を経た現在でもなお心身に何かしらの不調を抱えているという衝撃の結果がとなりました。

また、「仕事を続ける中で何かしらの症状で悩んだり困ったりした経験がありますか?」という問いの結果は以下の通り。

妊娠中の「つわり」や「下腹部の張り」は妊娠に伴う体の変化なので仕方ないものの、育休復帰後と現在には「疲労感」「疲労」がそれぞれ上位にきていることが分かります
また「へとへとだ」「イライラ」も高い割合になっており、働く母の多くは肉体的疲労だけでなく精神的疲労を抱えていることが明確になりました。

仕働く母親を襲う罪悪感、不安感、つらさ…

病院

つむぎ / PIXTA(ピクスタ)

こうした心身の不調への対処について聞くと、体の不調については「病院に行く」(48.7%)や「家族に相談」(32.1%)と何かしらの策を講じる人は少なくありません。

一方で心の不調については「何も対処していない」(37.9%)と回答したのが3人に1人という結果に。
さらに他の対処法についても「家族に相談」(42.6%)、「同僚や友人に相談」(29.9%)にとどまっており、多くの働く母は専門医への受診やしかるべき対処を行っていないようです。

調査結果

続いて仕事と家庭を両立していく上で、職場や家族への罪悪感や「このままでいいのだろうか」という不安感、仕事をしながら子育てをする現状に対するつらさを感じるかどうかについて聞いた結果は以下の通り。
いずれの質問でも「よく感じる」「たまに感じる」と回答した人の割合が高くなっており、多くの母親がネガティブな感情を抱いてしまっている現状が見て取れます。

調査結果

次に、出産後に転職や退職を考えたことのある人について調べると「仕事を辞めたいと思ったことがある/現状思っている」(34.1%)、「働き方を変えたいと思ったことがある/現状思っている」(36.3%)という結果となりました。
実に7割以上の働く母親が、子育てと並行した仕事の継続の難しさから働き方を考える帰路に立ったことがあるようです。

調査結果

働く母親が仕事を辞めるデメリットは収入だけじゃない

子どもと母親と祖母

筆者も現在、1歳3か月の子どもを保育園に預けながら自営業として仕事をしています。
平日はまだ言葉も話せない小さな我が子と過ごす時間よりも、仕事をする時間が長くなっている状態に「子どもの発育にとって本当にいいのだろうか」と自問自答を繰り返すことは少なくありません。

むしろ夫の方が、朝から晩まで仕事をしていて平日には子どもと全く顔を合わせない日もあるのに、です。

筆者の抱く焦燥感や罪悪感は、仕事に集中している夫や夫の職場環境への不平不満からきているのかもしれません。
今回の調査でも、夫またはパートナーの職場環境や勤務形態に不満がある人ほど、罪悪感や劣等感、不安、つらさを感じる割合が高くなることが分かりました。

調査結果

また、母自身の職場制度に対する不満がある人ほど、妊娠中も現在も心身の不調を抱えていることも判明。
自分自身の職場に対しても夫の職場に対しても「子育てと仕事の両立に理解や協力を示してくれない」とネガティブな気持ちになることで、働く母親は「自分一人だけが辛い」という孤独さを感じていってしまうのかもしれません。

日々の小さな不満や罪悪感の積み重ねによって、転職や退職を選択せざるを得ない母親も少なくないのでしょう。

親子

働く母親が仕事を辞めることのデメリットは計り知れないでしょう。家計においては世帯収入のダウンはもちろんのこと、企業も人手不足に陥ります。
そしてなによりも、働くことが好きな母親自身にとっては社会との繋がりやアイデンティティの喪失などがあるでしょう。

母親の中には子育てだけに集中できるタイプもいれば、仕事と両立することで頭や心の切り替えができるタイプもいます。

働く母親が心身共に健やかな状態で仕事を継続できるために、母親個人の頑張りだけに頼るのではなくパートナーや職場が理解と協力の体制を作ることは、社会全体の急務となっているのではないでしょうか。

 

【参考】
※ ワーキングマザーの8割以上が心身の不調を抱える傾向に

WOMANウェルネスプロジェクト「働く母1000人実態調査」※条件詳細は、調査結果報告書をご確認ください。

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