アメリカに住むある女性が、夜にはっきりとした銃声を耳にして警察に通報した。しかし銃声が聞こえた原因は、彼女自身の頭の中にあった。『New York Post』『The Sun』『Metro』などが伝えている。

ニュージャージーウッドベリー在住のジル・ラファティさん(Jill Lafferty、64)は、「頭内爆発音症候群(Exploding head syndrome:EHS)」に悩まされている。あまり聞きなれない病名だが、この病は入眠時や睡眠中に突然、爆発音のような大きな音が瞬発的に自分だけに聞こえ、それにより目が覚めてしまうという睡眠障害に分類される疾患である。

ジルさんにこの症状が現れたのは、2017年11月のことだった。就寝中に耳のすぐ近くで銃声が聞こえ、驚いて目を覚ましベッドから飛び起きた。窓の外を確認したところ特に不審な点はなかったようだが、怖くなったジルさんは警察に通報した。

しかしジルさん宅を訪れた警察官は、不審な点を見つけることはできなかった。ところがこの1か月後、また銃声が聞こえたのだ。その後も度々銃声が聞こえるため、当時のジルさんは自分が気でもおかしくなったのかと心配したようだ。のちにこの銃声のような爆発音が、自分だけに聞こえることに気づいた。ジルさんは「その音は誰にも聞こえず、全て私の頭の中で起こっていたことに気づいたんです」と明かした。

元・血液専門医だったジルさんは、自分の症状について調べたところ「頭内爆発音症候群」という疾患に行き着いた。そして病院で頭内爆発音症候群である可能性があることを伝えたうえで医師の診断を仰いだが、あまりにも聞きなれない病名であったため診断した医師ですらこのとき初めて知ったそうだ。

医師からは治療する術がないと言われたジルさんは、現在も睡眠時に月数回ほど爆音が聞こえるために恐怖のあまり十分な睡眠が取れないという。その音について「それはとてつもない爆音なんです。誰かが私の耳元で銃を発砲するような音で、多分皆さんは想像できないと思います」とジルさんは語っている。

ジルさんは頭内爆発音症候群を発症した原因について、2016年11月に発作を起こして病院に4か月間ほど入院したことがあり、それが引き金となっているのではないかと考えているそうだ。現在は睡眠不足を解消するために抗ヒスタミン剤のベナドリルを服用しているが、それでも一日4時間ほどしか眠れていないという。

頭内爆発音症候群は50歳以上、または10歳未満の子供に発症する可能性が高く、日本でもいくつか症例が報告されている。『The Sun』『Metro』によると、今のところ完治する治療法は見つかっておらず、抗うつ剤、またはカルシウム拮抗剤などが治療薬として用いられているとのことだ。

画像は『New York Post 2019年11月11日付「Woman plagued by ‘Exploding Head Syndrome’ hears gunshots in her mind」(Facebook)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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