11月13日の午後の記者会見で、菅義偉官房長官は来年度の「桜を見る会」の中止を発表した。

「桜を見る会」は、1952年から例年4月に東京・新宿御苑で開かれる内閣の公式行事のこと。11月8日参議院予算委員会における共産党・田村智子議員の質問をきっかけに、近年の支出額や招待客の増加、招待客の選定基準などが問題視されるようになった。

支出額は14年の3005万円から、19年の5520万円に

 それまで約8000人~1万人だった参加者は、第2次安倍政権成立後の2014年には1万3700人に。今年度に至っては1万8200人が参加したという。参加者の増加に伴い、支出額も増加。2014年時点で3005万円と、予算の1.7倍の支出があったが、今年度の支出は5520万円に上った。

 なぜこれほどまでに参加者が増えたのか。国内政治に詳しい岩井奉信・日本大学教授は「知らず知らずのうちに政治家の選挙区サービスの道具になっていたのでは」と分析する。

「後援会の人たちを招き、飲食をさせて、いい思いをさせる。会にはタレントさんも参加しますから、一緒に記念撮影もできるし、やっぱり招かれると嬉しいわけですよ。政治家の選挙区サービスに事実上利用されてきたと言っても過言ではないかなと思います」

首相の地元・山口県の後援会関係者に招待が

 今年の「開催要領」によれば、招待範囲は皇族や各国大使、国会議員の他、「その他各界の代表者等(とう)」。内閣府は、上記の招待範囲から、各省庁の推薦を受け、内閣府内閣官房が招待客を取りまとめるとしていた。

 しかし、実際には安倍晋三首相を始めとする自民党議員の地元支援者らが招待されていた疑惑が浮上。安倍首相の地元・山口県の後援会関係者宛に送られた、「桜を見る会」への参加を募る案内文の存在も報道されている。

 13日午前の記者会見の時点では、菅官房長官は特定の政治家に紐付いた「“総理枠”、“政治枠”という特別なものはありません」と話していたが、午後の記者会見では首相や官邸幹部、与党に推薦の依頼をしていたと認めた。

 法的な問題点も指摘されている。憲法学が専門で、情報公開に詳しい上脇博之・神戸学院大学教授が解説する。

「『桜を見る会』の招待基準が厳正に守られていれば、招待者も大幅に増えることはなく公金の使い方として問題視されることはなかったでしょう。しかし、『その他各界の代表者等』といった本来の招待基準から大きく逸脱して、政治家支援者なども招待していたことが分かった。『等』があるからといって、政治家支援者を含めることは許されません。

 公金を本来の目的以外で使うと、財政法違反にあたります。安倍首相主催の『桜を見る会』には政治家支援者も招待されていたので、本来の目的外でも公金が使われていたことになり、財政法違反になるでしょう」

今後の焦点は「推薦者名簿」か

 来年度の「桜を見る会」は中止されたが、上脇教授によれば、今後、今年度の「推薦者名簿」が焦点になりうると言う。

「菅官房長官は、内閣府が取りまとめた招待者名簿の保管期間は『1年未満』だとし、今年度の分はすでに廃棄したとしています。まだ会計検査院の検査も済んでいないのに、『廃棄した』とはにわかに信じがたいのですが、『招待者名簿』が廃棄されていたとしても、各省庁が推薦した『推薦者名簿』は残っているはずです。実際に、萩生田光一文科相は文科省に推薦者名簿が保存されていることを認めています。

 次は、内閣府以外の各省庁に『推薦者名簿』を出すよう働きかけるべきでしょう。今後、たとえば各省庁の推薦した人数の総計が見えてきたら、今回大問題となった“政治枠”の推薦者数も明らかになるでしょう」

 中止によって幕引きとなるのか、注目される。

(「文春オンライン」編集部)

2019年の「桜を見る会」の様子。右からメイプル超合金、安倍昭恵夫人、さかなクン、バイきんぐ、 安倍晋三首相、その後ろに野々村真 ©文藝春秋