ウサギくらいの大きさしかないが、その姿は鹿にそっくり。そんなかわいいベトナム・マメジカ(学名 Tragulus Versicolor)が野生で暮らす様子が世界で初めてカメラに収められた。
しかもその姿が人の目に触れたのはじつに30年ぶりで、科学的には絶滅したとされていた種だというのだから二度びっくりだ。
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恥ずかしがり屋の小さな生き物
「単独で行動することを好む恥ずかしがり屋です。蹄で爪先立つように歩き、小さな牙が2本あるようです」とマメジカの捜索プロジェクトを支援したアメリカ・グローバル・ワイルドライフ・コンサーベーション(Global Wildlife Conservation)はコメントする。
研究グループは、森の中でマメジカを目撃したという地元民の証言をきっかけに捜索を開始した。その証言によれば、マメジカは灰色だったというのだ。ならば、より一般的なマメジカとは違う種である可能性が高かった。
2017年後半、森の中に隠しカメラを仕掛け、ベトナム・マメジカと呼ばれる希少種が姿を現すことを期待しながら待つこと5ヶ月。ついに待望の撮影に成功した。
「長いこと、この種は我々の想像の中にしか存在しないかのようだった」と『Nature Ecology & Evolution』(11月11日付)に掲載された研究は、それがどれほど希少な動物なのか説明している。
何匹いたかは不明だが今そこにいるベトナム・マメジカ
最初の調査では仕掛けた3台のカメラすべてにベトナム・マメジカが映っていた。そこでカメラを増やしてより本格的な調査に着手。すると29台中15台にその姿が200回以上も映り込んでいたとのこと。
はたして全部で何匹が映っていたのかまでは確認されておらず、同じ個体が繰り返しカメラの前に姿を現していたという可能性もあるそうだ。
マメジカを発見した研究グループは、政府や環境保全団体にさらなる調査を進め、生息地の保全や彼らの生存を脅かす潜在的な脅威を特定するよう強くうながしている。
「まだそこにいるという発見は、再びマメジカを失わないようにする最初のステップです。今、マメジカを守る最善策を考案するために迅速に行動しています」と研究グループのリーダーである独ライプニッツ動物園・野生生物研究所(Leibniz Institute for Zoo and Wildlife Research)のアン・グエン氏は話す。
絶滅が危惧されていたベトナム・マメジカ
その生息地であるベトナムからラオスにかけての大アンナマイト生態地域(Greater Annamites)は、豊富な固有種が暮らしていることで知られているが、密猟が頻繁に起きている地域でもある。
そのために研究グループは、マメジカが発見された正確な場所を公表していない。
世界最小の偶蹄類であり、背中から脇腹にかけて生える銀色の被毛が美しいベトナム・マメジカは、今回の発見を除けば、これまでたったの5匹しか目撃されていない。
最初に記録されたのは1910年のことで、ホーチミン市北東のニャチャン近郊で4匹の個体が発見された。次にもう1匹が発見されたのは、ずっと後になっての1990年のことだ。しかし、このときはハンターによってすでに殺された後だった。
References:newscientist / nprなど/ written by hiroching / edited by parumo
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