青森県八戸市で、小学校高学年の女子児童が、カッターナイフで首を切りつけられる事件が11月12日に起きた。

全治3週間のけがで済んだのは不幸中の幸いだったが、殺人未遂容疑で逮捕されたのが14歳の男子中学生だったことから衝撃が広がっている。

このあと、この少年はどういう手続きにさらされるのだろうか。(監修:濵門俊也弁護士

14歳は刑事罰の対象になり得るか?

まず、この少年は刑事罰を受ける可能性があるのだろうか。刑法41条(責任年齢)は「十四歳に満たない者の行為は、罰しない」と規定している。

事物の是非・善悪を弁別し、かつそれに従って行動する能力(刑事責任能力)のない者に対しては、行為を非難することができず、刑罰を科す意味に欠けるとされているためだ。14歳未満の者を「刑事未成年者」という。

少年法はもともと、刑事処分可能年齢を刑法の規定より年長の「16歳以上」としていた。しかし、1997年の神戸連続児童殺傷事件などを受けた2000年改正により、2001年から「14歳以上」も刑事処分可能年齢とした。

法律上は、今回の少年も刑事罰を受ける可能性があることになる。

刑事手続に進むとは限らない

では、この少年は今後、どのような手続きに進んでいくのだろうか。

少年が逮捕されると、最初は大人と同じように警察からの取り調べを受けるし、検察庁に送致され、勾留が決定されることもある(今回は罪名が殺人未遂ということなので、勾留は十分考えられる)。

ただ、大人の場合、勾留期間満了時に起訴されるか否かが判断されるのに対し、少年事件の場合は、原則としてすべての事件が家庭裁判所に送致される(家裁全件送致主義)。

家裁の調査を受け、必要なら「少年審判」を受けるという流れだ。今回のような重大事件なら、審判まで「少年鑑別所」で過ごすこともある。

少年審判で事態が重く判断されれば、少年院児童相談所に送られたり、検察官に送致(逆送)され、大人同様の刑事手続へ移行したりする(逆送後、再び家裁に移送されることもある)。

なお、犯行時16歳以上の少年が故意に人を死なせると、原則として検察官に送致される仕組み(原則逆送)があるものの、今回は該当しない。

14、15歳が逆送されるのは珍しい

今回の少年は14歳なので、原則逆送の対象にはならない。では、少年審判で通常の刑事裁判の手続きに振り分けられる(=検察官送致/逆送)可能性はあるのだろうか。

もともとの凶悪事件が少ないということもあるが、司法統計によると、刑事罰の対象が「14歳以上」になった2001年から2018年まで、検察官送致となった14、15歳(年少)の事件は17件しかない。

たとえば、2018年をとっても、14、15歳の「殺人未遂」を含む区分の件数は6件あるが、検察官送致はゼロ。少年院3件、児童相談所2件、保護観察1件の内訳だった。

14、15歳は年長の少年に比べ、より可塑性が高い(更生の可能性が高い)ことなどから、刑務所よりも少年院等での教育の方が望ましいと考えられているようだ。こうした傾向からすると、今回の少年も刑事罰を受ける可能性は低いと言えそうだ。

【取材協力弁護士
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URLhttp://www.hamakado-law.jp/

青森・女児切りつけ事件「14歳少年」を逮捕、刑事罰の可能性が「低い」理由