中国メディア・東方網は14日、「日中両国の差は、王陽明1人分だ」とする記事を掲載した。

 記事は、王陽明について16世紀初めに王学、陽明学とも呼ばれる心学体系を作り上げ、儒学史上最後に宗派を立てた人物であると紹介。日本にはその死後70年が経過した17世紀初めに書物「伝習録」によって伝わったとした。

 そして、江戸時代には支配階級で広く王陽明の思想が浸透し、明治維新前夜には幕府の内外を問わず、数えきれないほどの陽明学の信奉者を生んだとし、明治維新三傑の1人とされる西郷隆盛、日本陸軍の父・山形有朋、日本企業の父・渋沢栄一明治憲法の父・伊藤博文三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎などがその一例であると説明。明治維新の成功は、いわば王陽明の存在があったからと言っても過言ではないとの認識を示している。

 また、明治維新後にわずか27年で日清戦争により清国を破り、アジア一の強国になったこと、さらには日露戦争での勝利にも王陽明の思想が背景にあったとし、ロシアのバルチック艦隊を破った東郷平八郎も王陽明の大ファンだったと伝えた。

 さらに、1945年の敗戦から立ち上がった日本においても、やはり王陽明の思想が支えになったと紹介。京セラの創始者である稲森和夫氏が王陽明と陽明学の信奉者であり、講演のなかでしばしば王陽明について触れていたとしている。

 記事は、王陽明が日本のみならず韓国やシンガポールでも聖人として崇められてきた一方で、中国では認知度が低いを指摘。「これは残念なことだと言わざるを得ない」と結んだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

近現代における日本と中国の発展の差は「王陽明1人分」=中国メディア