中国メディア・環球時報は14日、「日本はどうやってイノベーション環境を維持してきたのか」とする、中国社会科学院日本研究所副研究員の田正氏による文章を掲載した。

 文章は、日本ではバブル崩壊後に経済が長期の低迷状態となり「失われた20年」と形容されてきたが、日本政府はその間も技術革新の強化を通じて、国内のイノベーション環境整備を進めてきたと紹介。その経験は参考になるものだとした。

 そして、科学技術の研究開発のリードを重要課題とした日本政府が国の科学技術発展計画を制定し、ロボット、センサー、バイオ技術、人工知能などの強化分野を指定して技術革新と研究開発を促してきたと伝えた。

 また、技術革新のレベルを高めるために、経済産業省文部科学省などの政府機関が協力して「公開申請研究プロジェクト」を導入し、科学研究プロジェクトの資金分配制度を充実させたほか、国レベルの技術開発プロジェクト制度を立ち上げ、工業、医療、環境などの分野における技術の発展を図ったとしている。

 さらに、日本企業の9割を占めるとされ、日本経済の重要な一部である中小企業によるイノベーションへの意欲を喚起すべく、日本政府は税制の優遇、基礎研究開発に対する資金援助といった中小企業向けの措置を講じたと紹介した。

 このほか、各分野の人材や資源を有効活用するために、産官学の連携も積極的に推進したと説明。これらの政策を推し進めてきたことにより、今世紀に入って全要素生産性(TFP)増加の日本経済に対する貢献度が絶えず高まっているのだと論じた。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

日本はどうやってイノベーション環境を保っているのか=中国メディア