今秋池袋に誕生した、東京建物ブリリアホールのこけら落としシリーズに、ダンスカンパニーコンドルズが登場。そこで新作『Bridges to Babylon』について、主宰で構成・映像・振付・出演を兼ねる近藤良平に話を聞いた。

未来への架け橋になるような作品にと、ザ・ローリング・ストーンズのアルバム名をそのままタイトルにした本作。だがその本題の前には、“コンドルズ×豊島区民”の文字が。そう、本作は公募による出演者がステージを彩る、参加型舞台なのだ。

コンドルズは毎年夏に『にゅ~盆踊り』というイベントをやっているので、ワークショップを開いて市民と一緒に踊る、という点では同じなんですよね。だから参加型にすること自体は可能だと思っていて。ただ最終的に200人近い応募があったので、さてどうしようかと。まぁこの企画自体コンドルズ的ですし、テーマが“祝祭”でもあるので、落とす理由があまりにもない。いろんな人に“ダンスをやろう!”って門を広げちゃったのは僕たち自身でもありますし(笑)。だから全員、結局180人くらいかな。それを90人ずつに分けて出てもらうことにしたんです」

公募による出演者は、小学生から70代までの男女と非常に幅広い。

「みんなやる気ありますよ。だから当初はオープニングアクトのみの参加予定だったんですけど、どうせだからと本編にも出てもらう作戦を立てていて。要はコンドルズのメンバーと一緒に本編でも踊ってもらう。これはコンドルズ史上初めての試みだと思いますね。内容としてはいわゆる群舞です。それはやっぱりダンスのいいところですし、せっかく会場も大きいですから。こけら落としシリーズということで、劇場を知って欲しいという意味合いもあって。まぁ90人も、しかも初めて踊るような人もいるので、全員がそろうわけはない。ただ僕のダンスはそろっているから云々というものでもないですからね。気持ちさえそろっていればいいので。きっと群舞ならではのマンパワー、みたいなものを感じてもらえると思いますよ」

豊島区長の働きかけもあり、今池袋は“演劇の街”という色合いを強めてきている。そんな中で近藤は、どんなことを期待しているのだろうか。

豊島区の高野区長は、ずっと“豊島区を文化都市にする”と言い続けてきた人で、文化でまちづくりをすることに対してものすごく愛がある人なんですよね。だから劇場までの足にもなるIKEBUS(イケバス)っていう周回バスを走らせていたり、このブリリアホールの前の歩道は広くしてあって、大道芸とかも出来るようなスペースが取られていたり。つまり考え方がすごく広いんですよね。それをさらに広げていけるかっていうのは、僕らつくり手側次第で。ここ池袋でどんなことを仕かけていけるのか。いろいろ考えられるのは面白いですよね」

コンドルズは結成からすでに23年。十分ベテランの域に達しつつも、常に新たなチャレンジを重ね、新メンバーの加入などを経ながら、コンドルズらしさを失わない発展を遂げてきた。

「やっぱり長くやっていると年齢層が上がってきますから。そこは若い人を入れないと回っていかないところもあって。かといってイケメンを入れる気はないんですけど(笑)。ただ長いメンバーはメンバーで、続けてきたっていう意地、プライドがある。この間地方の公演で小学生と踊る機会があったんですけど、その子供たちがすごく頑張っていたんですよ。そうしたらうちの最年長の山本光二郎も超頑張っちゃって、本番びっくりするほど動いていて(笑)。なんかそういう意味では違う領域に入ってきた感じもありますし、やっぱり続けていると面白いことがあるなって思いますね」

コンドルズ×豊島区民『Bridges to Babylon-ブリッジズ・トゥ・バビロン-』は、11月20日(水)から23日(土)まで東京建物ブリリアホールにて上演。

取材・文:野上瑠美子

コンドルズ×豊島区民『Bridges to Babylon-ブリッジズ・トゥ・バビロン-』