そのルール、本当に必要だろうか?

日本労働組合総連合会は11月15日「社内ルールにおける男女差」に関する調査結果を発表した。調査は10月にネット上で実施し、20~59歳の会社員男女1000人から回答を得た。

仕事をする時の服装を聞いたところ、最多は「(スーツを含む)私服」(47%)、後に僅差で「制服」(44.3%)と続き、残りは「TPOに応じて異なる」(8.7%)といった回答だった。業種別では、スーツを含めた私服が多かったのは「教育、学習支援業」(73.1%)、「金融業、保険業」(71.4%)、「公務」(63.9%)など。一方、「宿泊業、飲食サービス業」(83.3%)、「医療、福祉業」(64.8%)などでは制服が多数を占めた。

「服装ルールはあるが、何で規定されているか分からない」


続いて、「勤め先で服装や身だしなみに関する決まりがある」と答えたのは57.1%にのぼった。「何で規定されているか」については、自社の秩序を乱さないためにルールを課す「就業規則」(45.7%)、「服務規程」(26.3%)のほか、独自に「服装規定」(20.8%)を作っている企業もあった。

一方、「口頭説明」(18%)、「慣習」(10%)といった正式に定められているわけではないものの、守るべきルールとして定着しているケースも。「(何で規定されているかは)分からない」(13%)と答えた人も一定数いた。

業種別にみると、服装に決まりがあるのは、制服着用の多い「宿泊業、飲食サービス業」(86.7%)で、他に「金融業、保険業」(71.4%)、「卸売業、小売業」(65.5%)、「運輸業、郵便業」(64.4%)、「情報通信業」(64.3%)、「医療、福祉業」(60.7%)が6割を超えた。また、こうした人たちの過半数は「仕事で社外の人に会う機会がある」(60.5%)と答えている。

「ヒールの高さに決まりがある」と2割が回答

「服装や身だしなみに関する決まり」の種類を聞くと、「髪」(41.9%)が最多で、以降に「入れ墨、タトゥ」(40.3%)、「ヒゲ」(33.1%)、「服装」(22.6%)、「靴」(16.8%)、「服装(制服を含む)の色」(9.1%)と続いた。男女別にみると、「髪」(男性:38.9%、女性:45%)については、女性のほうが6ポイント以上も高い結果に。一方、「服装」(男性:25.3%、女性:19.8%)では、スーツで働く人が多い男性の割合がより高かった。

また、「男性はスーツを着用しなければならない」(19.4%)、「男性はピアスをしてはならない」(32.9%)、「女性は化粧をしなければならない」(15.1%)と男女どちらか一方のみを対象にした決まりを作っている企業もあるよう。女性が履くパンプスに関しては、2割近くが「ヒールの高さに決まりがある」(19.4%)と回答した。具体的な決まりの内容を聞くと、

「(髪色が)男性は黒色、女性はあまり派手ではない茶色」(女性20代・宿泊業、飲食サービス業)
「男性はネクタイジャケット必須。女性はジャケット着用任意」(女性30代・卸売業、小売業)
「男性は革靴、女性はパンプス」(男性20代・卸売業、小売業)

といったものが挙がった。

男女で異なる決まり、3割強「仕方ない」――「LGBTに配慮すべき」という声も

服装の決まりに従わない場合、2割近くの人は「(会社から)何らかの処分がある」と回答した。内訳は「始末書提出」(9.8%)、「降格、減給処分」(5.6%)、「解雇、契約打ち切り」(5.4%)などだった。また、「(処分があるかは)分からない」(50.1%)と答えた人もほぼ半数にのぼる。

「男女で決まりが異なることをどう思うか」を聞くと、「仕方ない」(36.2%)と答えた人が最多。次いで、「TPOによって変えるべき」(31.5%)、「男女で統一すべき」(14.4%)、「おかしい」(12%)といった回答が続き、中には「LGBTに配慮すべき」(6.7%)といった声もあった。

先月には、ネット上で客室乗務員や大手百貨店の受付に"メガネ着用"を禁止されている女性がいると話題になったばかりだ。こうした決まりの有無については「最低限でよいと思う」(54.9%)、「本人で任せるべき」(18.1%)といった回答が目立った一方、「(決まりが)あったほうがよい」(14.7%)と考える人もおり、「ないほうがよい」(5.2%)と答えた人は極端に少なかった。