女性写真家・山沢栄子の生誕120年を記念し、約25年ぶりとなる大規模個展『山沢栄子 私の現代』が東京都写真美術館で開催されている。

山沢栄子(1899〜1995)は、戦前のアメリカで写真を学んだ、女性写真家のパイオニアだ。大阪で生まれ、女子美術学校(現・女子美術大学)を卒業後の1926年、27歳の時に単身渡米。写真家コンスエロ・カナガに師事して写真を学び、帰国後は写真スタジオを開設して主にポートレートを手がけ、戦後は企業広告写真や抽象写真の制作を行うなど、半世紀以上にわたって活躍し続けた。

同展では、現存する1970〜80年代の代表作を中心に、1960年代に発表された写真集から、戦前の活動を伝えるポートレートや関連資料まで、約140点を全4章構成で紹介する。

第1章「私の現代」では、1970〜80年代に手がけた抽象写真シリーズ「What I Am Doing」28点からスタート。第2章は1962年に出版され、抽象表現の原点を示す写真集『遠近』を紹介。第3章「山沢栄子とアメリカ」では、コンスエロ・カナガをはじめ、アルフレッド・スティーグリッツやポール・ストランドなど、山沢の写真表現に大きな影響を与えた20世紀前半のアメリカ写真を代表する作品を展示。そして第4章では、1960年代以前の山沢栄子の仕事を「ポートレート」「疎開中の写真」「商業写真」の 3部にわけて紹介する。

明治から平成まで激動の時代を、写真家として独自の芸術表現を探求し続けた山沢栄子。彼女の挑戦と創造の軌跡を、その力強い生き様も含めて辿ってみたい。

【開催情報】
『山沢栄子 私の現代』
11月12日(火)から2020年1月26日(日)まで東京都写真美術館にて開催

【関連リンク】
東京都写真美術館

《コンソェロ・カネガ女史(写真家)》 1955 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館
《山本安英“土”》1943(プリント1990)年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館
《静物 机、皿、りんご》 1961 写真集『遠近』より オフセット印刷
《仔犬》 1958 写真集『遠近』より グラビア印刷
《What I Am Doing No. 9》 1980/プリント1986 銀色素漂白方式印画 大阪中之島美術館蔵