裁判官は鈴木友哉(仮名、裁判当時34歳)に対して厳しい言葉を投げ掛け続けました。

「あなたねえ…これ、話にならないですよ。刑務所行くしかないよね? 前も同じようなことやって捕まってるんだから、その時に気づくべきでしょ。結局、自分のことしか考えてないんだよ。被害者がどう思うか考えてたらこんな事件起こさないよね。被告人質問を聞いてても話が全く響いてこない。社会の中でやり直せるんですか? 治療するっていうけど、本当にちゃんとできる? あなたはどう考えてますか?」

彼は裁判官の問いかけに対して、

「はい…」

とだけ小さな声で呟いてうつむき、その後は黙りこんでしまいました。

法廷には、傍聴席に座っている両親のすすり泣く声だけが響いていました。

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彼は子供の頃から極端に人付き合い、とりわけ女性と関わることが苦手だったようです。

「昔から太っていて、それがコンプレックスでした。女の子の好意なんて得られるわけがないとずっと思ってました。女性と交際したこともなくて、童貞です」

そんな彼が中学生の時、一つの小さな事件を起こします。同じクラスの女子生徒の体操服を持ち出してしまったのです。

「匂いを嗅いだりしたかった」

という理由での行動です。この頃から彼の性癖は歪みはじめていたようです。

意思のある生身の女性には拒絶されることもあります。しかし女性の身につけている物は彼を拒むことはありません。法廷で彼は自分の性癖について話していました。

 

「女子生徒には興味がありません。自分が興味があるのは、女子生徒が着ていた体操服や水着だけなんです」

 

人付き合いが出来なくても、勉強はとても出来る子でした。大学を卒業後、早稲田大学の大学院に進学しその後就職しました。

しかし、学校と違って会社での仕事はコミュニケーション能力が求められます。優秀な頭脳を持っているはずの彼の会社での評判は芳しいものではありませんでした。同僚の供述によると、

「大した仕事をしてなかった」

「日常的に会社で怒られていた」

ということでした。

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会社だけでなく、同居する両親ともうまくコミュニケーションは取れていませんでした。同居する父親の話です。

「社会人になってからは家族で食事をすることもなくなりました。頻繁に息子の部屋に入って片付けをしていました。趣味のフィギュアがあまりにも多くて…自分で片付けるように言っても下を向いて黙りこんでしまうばかりでした」

誰とも関わりを持てず、会社では怒られてばかりの日々。ストレスも溜まる一方だったのだと思います。そんな生活を送る中で、ある日とうとう彼は爆発してしまいました

小学校に侵入して面識のない女子児童の体操服の匂いを嗅ぎながら自慰行為をしているところを発見され捕まったのです。

この時は裁判になることも会社に知られることもなく済みました。

逆にそれが良くなかったのかもしれません。一度捕まっただけでは彼は懲りることなく、再び同じような犯罪に走りました。

「トイレを貸してください」

そう警備員に断って彼は中学校に入りこみました。しかし、彼は一階にあるトイレに向かわず階段で二階へと昇っていきました。

警備員は、

「待ちなさい!」

と声をあげて後を追いかけましたが、途中で見失ってしまいました。その間、彼は教室に侵入し一年生の女子生徒の水着を盗みだしていました。

その後、防犯カメラ映像等によって身元を特定され逮捕に至りましたが、被害者の両親の怒りは激しいものでした。

「親として絶対に許せません。13歳の娘はショックを受けてます」

彼は警察官調書で動機について

「水着を持ち帰ってオナニーをしたかった」

と話しています。両親が怒るのも当然、あまりにも身勝手な動機でした。

 

「今後は窃盗ではなく、18禁の漫画やゲーム、法に触れない方法で性欲を処理します」

彼はこのように再犯防止策を話していました。相変わらず、彼は人との関わりを持つつもりはないようです。(取材・文◎鈴木孔明)

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