ヤフー(川邊健太郎社長)は10月31日、記者会見を開き、企業・自治体向けにヤフーが持つビッグデータを分析して活用できるようにする「ヤフー・データソリューションサービス」の提供を同日に開始したと発表した。企業・自治体のものづくりや街づくりにおける課題解決を支援する。ヤフーではこのデータソリューション事業を、「eコマース」「統合マーケティングソリューション」「フィンテック」の3事業に並ぶグループの「4本目の柱」(川邊社長)として育てていきたい考えだ。

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 提供するのは、ダッシュボードツール「DS.INSIGHT」とコンサルティングサービス「DS.ANALYSIS」の2種類。DS.INSIGHTは、ヤフーの検索や位置情報サービスなどを基にしたビッグデータをブラウザー上で調査・分析できるダッシュボードツールで、利用者は検索したい特定のキーワードを入力することで、その関連語を表示したり、性別や年代など属性情報、地域、期間別の検索量や推移を可視化したりできる。DS.ANALYSISは、DS.INSIGHTでは提供していないデータを基にした分析や活用支援を提供。ヤフーのアナリストが対応し、出店計画やカスタマージャーニー分析、競合分析などをサポートするという。

 なお、データソリューションサービスで提供する情報は、匿名化した統計データとして提供。佐々木潔・執行役員チーフデータオフィサー(CDO)は「ユーザーのプライバシー保護が第一」だと強調した。

 ヤフーでは2018年2月、同社がもつビッグデータを外部の企業・団体にも提供する「データフォレスト構想」を発表。以降、約60件の実証実験を実施し、企業・団体の商品開発や需要予測、価格最適化などに役立ててきたという。その実績を基に、今回サービスをローンチした形だ。

 今後も継続的にサービスを強化していく方針で、直近ではDS.INSIGHTのAPI提供や、現在は市区町村単位の地域設定をより柔軟な範囲で設定し分析できるようにする計画があるという。さらに、パートナー企業向けの「DS.INSIGHT for Partner」を用意し、パートナー企業が自社の顧客にも提供できるようにする予定。

 川邊社長は「最初はヤフーと企業・団体のような1対1の関係から始めていくが、ゆくゆくはより多くの企業や自治体に入ってもらい、日本全体の企業・自治体がデータを使ってさらに成長し、データがたまるというエコシステムをつくりたい」と意気込む。(前田幸慧)

ヤフー、自社のビッグデータを外部提供