中国メディア・東方網は16日、再就任からわずか半年足らずで再び中国代表監督の辞任を表明したリッピ氏について、「選手が戦術を理解できないのでリッピは辞めた」とする記事を掲載した。

 記事は、14日のカタールワールドカップアジア2次予選で中国がシリアに敗れた後、記者会見でリッピ氏が監督辞任を発表したと紹介。前回の辞任時には感情をあらわにしたのに対し、今回は非常に静かに自らの意思を伝えたとした。

 そして、記者会見でリッピ氏が「中国代表は練習時には要求された戦術をこなすことができるが、試合になるとまるで話を聞いていなかったかのように戦術のコンセプトを全く理解しない」と語ったと伝え、こういった点にリッピ氏は大きな憤りを感じていたと紹介している。

 そのうえで、シリア戦の前にシリア人記者が「リッピのような世界クラスの監督は、実際中国代表には合わない。なぜなら選手たちが彼の戦術を理解できないからだ」と語ったことを取り上げ、この記者はまさに先のことが見えていたかのようであるとともに、その根拠も非常に道理にかなったものだと評した。

 記事はさらに、リッピ氏の辞任とその背景について、1995~96年に名古屋グランパスエイトの監督を務めたベンゲル氏の思いと重なる部分があると指摘。日本サッカーの萌芽期に日本クラブで指揮を執ったベンゲル氏が自伝のなかで「日本のトレーニングを見て、非常に難しいと感じ、まるで違う世界のサッカーのように思えた」と述べたことを紹介したうえで、「ハイレベルなサッカー指導者の理念はあまりにも先を行き過ぎて、選手たちが本当に理解できないこともあるのだ」としている。

 ドタバタ劇という印象が否めないリッピ氏の2度の監督退任劇。確かに、今の中国代表に求められているのは実力、プレースタイルいずれにおいても「身の丈」に合った指揮官を配することだろう。そしてまた同時に、自分たちの「身の丈」がどれほどのものなのか、もう一度精査する必要がありそうだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

リッピ氏が中国代表監督を辞めた理由「選手が戦術を理解できないから」=中国メディア