テレビ山口tvk)が今月9日に放送した『週末ちぐまや家族』の“山口県内の珍しいものを探し歩く”コーナーで、出生時の性と自認する性が一致しないトランスジェンダーの人を「珍 女性のような男性」と紹介した問題。テレビ山口は15日、「プロデューサー本人が取材を担当しており、チェックが抜けてしまった可能性がある」と説明、「今回の件は、番組制作者が諸事情への配慮に欠け、取材対象者に対する確認を怠ったことが原因で、会社として深く反省しております。ご本人ならびに関係者の方々にお詫び申し上げます」と謝罪。さらに「会社としても今回の放送に至った経緯、原因を検証し再発の防止に努めるとともに、有識者の方を講師に招いて研修会等を行う予定です」と発表した。

 「LGBT法連合会」が作成する「LGBT報道ガイドライン」では、「LGBTを異常・異質なものと位置づけない」「取材相手のカミングアウトの範囲を確認する」「特に、アウティングはその人の居場所を奪う恐れがある」「匿名、実名、顔出しの有無など公開範囲を確認する」「戸籍上の性別ではなく本人の自認を尊重する」「『彼女』『彼』『それ以外』の表現を使うかを確認する」といった点を要請している。

 LGBTの問題にも取り組んできた乙武洋匡氏は「わずか半年前に読売テレビで同じような案件があった。あの時は放送した方に確認を取っていたにもかかわらず、あれだけ問題になった。今回は本人に確認もせず、しかも嘲笑するような使い方をしている。公共の電波を使っている放送局としての感度の低さに驚かざるを得ない。そもそも女性なのにオイル交換をしていることが珍しいと思って声をかけている。そのジェンダーバイアスも何なのかと思う」と厳しく批判する。

 また、「LGBT」という言葉の認知度は向上しているものの、大都市圏と地方ではまだまだ理解に差があるのではないかとの見方もある。ネット上にも「LGBTと騒いでいるのは都市圏だけ」「知識や接した時の反応は地域によって幅が大きい」「地方局では性的マイノリティー報道に対するガイドラインがまだできてない」といった意見が投稿されている。LGBTに関する支援活動も行っているfair代表理事の松岡宗嗣氏は「地方ではLGBTは“いない存在”として扱われる」「当事者コミュニティも少なく、情報が取り上げられない」「噂が広がりやすく、孤立や追い出される可能性もあり、カミングアウトしにくい」といった地方と都市でのLGBT理解における格差を指摘した。

 元経産省キャリアの宇佐美典也氏は「やはり現実的には東京に集まってくるので、地方ではもっと少数になってしまう。そんな中でマツコさんやIKKOさんをテレビで見て、面白い人という認識が一般的になり、そうした感覚の基づいて番組が作られたということだと思う。ただ、これは性的マイノリティーの問題というよりも、思いやりの問題だ。これだけ微妙な問題を本人に確認せずに放送するということは、人としていかがなもだろうか、かという文脈で議論した方がいいのではないか」と指摘。

 この点については乙武氏も「実際、当事者や支援活動をされている方々にお話を伺っていても、やはり地方と都市部では温度差があることがわかる。偏見が根強い中、仲間も見つけられず、都市部に引っ越してくるという方もかなり多いようだ。そして、少数派にレッテルが貼られてしまうことについては、僕も陥りがちな問題だ。マツコさんたちを通して面白い人だと思われてしまうように、僕が自分の障害をネタにしたギャグを言うことで、“障害者はいじってもOKなのか”と思われてしまう。しかし、障害者全員がそういうわけではない。トレンディエンジェルのネタがあるからといって、上司のハゲはいじらないように、全ての人に一般化して当てはめようとすることについても問題がある」と話した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
 

▶映像:"珍 女性のような男性" テレビ番組がトランスジェンダーを勝手に暴露 LGBT理解に地域格差も

LGBTに関する認識、大都市圏と地方で格差も…テレビ山口がトランスジェンダーを“アウティング”