卑劣な行為である痴漢。声をあげることができず、恐怖に耐えている女性は決して少なくないだろう。また、痴漢なのか、それとも事故なのか曖昧なラインで体を触られる女性もいるようだ。
このことについて、『Yahoo!知恵袋』に投稿されたとあるトピックが話題になっている。
■肘で胸を触られる
投稿者の女性は、電車に乗ったときに体験したという不可解な出来事についてつづる。座席に座っていたところ、隣で腕を組んで座っていた若い男性がもたれかかってきたという。最初は気に留めていなかった投稿者だが、その男性が徐々に肘で胸を触ってきたことに違和感を抱く。
投稿者が体を動かすと男性は姿勢を正すのだが、すぐにまた肘で触ってきたよう。その時点で「あ、これは完全に寝たフリだ」と気づいたとのこと。
その後、電車を降りたタイミングでその男性からナンパをされたため、「肘で触ってきた行為は意図的なものだったのだ」と確信に変わる。「触られたショックとかではなく、馬鹿にされている腹立たしさのほうがが大きいです」と怒りをつづった。
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■手の甲や肘であれば痴漢は成立しない?
たびたび痴漢被害に遭うという投稿者は、その体験を踏まえて「よく手のひらではなく手の甲で触れば痴漢は成立しないなど聞くのですが、肘ってどうなのでしょうか?」と悩みを訴える。
目撃者も多い痴漢の場合は、痴漢を指摘して駅員に伝える…という方法が一般的だが、今回のような痴漢かどうか曖昧なケースの場合は難しいもの。「対処法を伺いたいです」とつづった投稿者だが、はたしてどうすべきだったのだろうか。
手の甲や肘で触った場合が痴漢になるのかどうかも含め、しらべぇ編集部は、弁護士・齋藤健博先生に話を聞いた。
■東京都の迷惑防止条例では…
まず、手の甲や肘で触る行為は痴漢に該当するのだろうか。齋藤先生の見解は…
「痴漢は、有形力の行使を伴い、わいせつな行為をいうことをいいます。これは刑法上の強制わいせつ罪が成立する条件を示したものですが、条例といって地方公共団体が独自に定める迷惑防止条例というもので処断されることがほとんどです。
東京都の迷惑防止条例では、『公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れることをいう』としています。
これにあてはめてみると、手の甲で触る行為は直接に服や身体に接触することになりますから、迷惑防止条例違反が成立しています。ですから、手の甲でもアウトです」
■痴漢に遭ったらどうすべき?
では、今回のケースのような痴漢被害に遭った場合はどうすればいいのだろうか。
「明確に、迷惑防止条例違反になることを主張し、駅員を呼ぶなどして、警察対応をとることを視野に入れてください。
じつは、迷惑防止条例違反より強力とされる刑法上の強制わいせつ罪(刑法176条)の成立には、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした、と規定されています。着衣の上から臀部を撫でまわす行為に関しては、否定例もあるのですが、執拗な行為であればほとんどが強制わいせつ罪の成立が認められています。
肘で触れてくる行為も、どのような回数があるものなのか、動画を撮るなどして立証に備えるべきでしょう」
痴漢被害に遭い、相手の腕をすぐさま掴んで「この人、痴漢です!」と周囲に訴えることができればよいが、現実には、恐怖で何もできないという女性は少なくない。しかし、勇気を出して対応しなければ痴漢がなくならないことも事実。
今回のケースのように痴漢かどうか判断できない場合は、齋藤先生の見解のとおり、動画を撮るなどして後に備えてみてはどうだろうか。
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