韓国ソウルショッピングモール・タイムスクエアにはさまざまな店舗が入っているが、2階にある書籍店は韓国で人気の本がわかり、日本からの観光客も多く訪れる場所だ。

記者もタイムスクエアへ行く用事があったので、いま韓国でどんな本が読まれているのかを知るため、話題の図書コーナーを探すと、気になる本を発見した。

■『誰も揺るがすことのできない国』

右上の右から2番目にある本は青い韓国文在寅大統領のような横顔と、赤い金正恩朝鮮労働党委員長がデザインされたもの。

ガイドによると『誰も揺るがすことのできない国』というタイトルで、文在寅大統領の演説にも登場した言葉なのだという。

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■気になる物語は…

裏表紙にはキノコ雲の写真があり、ちょっと言葉にするのもはばかられる説明が書かれているのだが、本の内容について超はしょって説明すると、以下のような流れ。まず序盤は…

日韓の経済や領土問題の(かなり韓国側に偏った)説明

日本の極右が竹島の近くの海域で切腹したりなんやかんやあって竹島に日本が侵攻

竹島にいた韓国の部隊(警察かも)が勇敢に戦うも敗北

韓国海軍や空軍も超人的な能力で日本と戦うものの、軍事力の差で惨敗

■南北が核を共同開発

そこで、話は南北朝鮮の融和・共闘に展開していく。

韓国がピンチなのにアメリカは助けてくれず、困り果てていると北朝鮮から助力の申し出が

しかし、北朝鮮には核があるものの撃っても迎撃される状態。そこから南北が協力して核開発を始める

そんなこんなしていると韓国の発展のシンボルである浦項製鉄まで領土欲にかられた日本が侵攻

超ピンチのところで撃墜されない核ミサイルが完成し、大使を挟んで日本に警告をすると首相が韓国大統領になんでも従うと、直接許しを請う電話をする

だが、南北朝鮮は核ミサイルを日本に発射。東京に住む日本人は逃げ惑うが、着弾したのは本土から離れた無人島。日本は降伏する

勝利に喜ぶ韓国人青瓦台大統領府)から見守る大統領のシーンで終了

…という、なかなかショッキングな内容だった。ガイドに説明してもらいながら読んだので少し違うニュアンスがあるかもしれないが、だいたいこんな感じである。

■これは多くの韓国人が喜ぶ話なのか?

記者(私)は韓国人の友人もおり、韓国文化も好きだが、このマンガについては日本人が韓国に武力攻撃したがっている人が多くいるように勘違いされる内容で、非常に悲しい気持ちになった。

さらに日本が韓国に侵攻するストーリーで無人島といえど、日本に核ミサイルを撃つ結末とは…これが話題の図書になっているということは、多くの韓国人が喜ぶ話なのだろうか?

■あまり売れてないのに話題の図書

ガイドは「極左と呼ばれる人たちが買っていると思うので、多数の韓国人はこのストーリーは喜ばないと思いますよ」とフォローしてくれたが、気になったので店員にもどれぐらい売れているのか聞いてみた。

すると「あまり売れてないです」とキッパリ。「じゃあなんで話題の図書にしてるんだよ!」とも思われたが、さらに突っ込んで問題になっても良くない気がしたので、それぐらいにしておいた。

■真逆の考えの本は隠されていた

ちなみに、この本とは考えが真逆だが韓国で大ヒットとなり、日本でも最近翻訳版がリリースされた書籍「反日種族主義」は、目立たない場所(写真上段中央)に置かれていた。

いくら特定の層が喜ぶ本だからといって単純に憎悪を煽る本を話題の図書に指定するより、お互いの国についてより理解を深められる本を選べないのかな…と、読んでから数時間モヤモヤが収まらなかった。

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(取材・文/しらべぇ編集部・熊田熊男

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