2019年11月、本当は、大統領にならせてはいけない人物だったのかもしれない。人としての評価が高い人物が必ずしも仕事に長けているとは限らない。ましてや、任期はあれど一国の主となる人間。

 そんな大統領選びを、韓国と言う国は、毎回間違えている。少し猶予を持っていえば、選んだ当初は適任だったのかもしれないが、任期途中で腐ってくるのだろうか。それは、失敗したキムチのように。

 文在寅は、長く釜山で人権派弁護士を生業にしていた。その案件の中に徴用工訴訟もある。だから日本人には、慰安婦問題の次に唐突に出たような気がするが、彼にとってはライフワークを権力の長に立って成し遂げようと言う弁護士精神が抜けていないのかもしれない。

 ノ・ムヒョ大統領弁護士仲間の一人だった。大統領府民情首席秘書官に抜擢され、大統領秘書室長にもなりえたのは、この伝手があったからだ。しかし、ノ大統領は、退任後に自殺した。彼は「政治殺人を犯した保守を倒したい」と身の丈に合わない野望を持った。もちろん、身の丈に合わないことは国民も知っていたから、一回は朴槿恵に負けた。しかし、任期半ばで彼女は逮捕された。その隙間に滑り込んだのが、文在寅だ。目的はひとつ、ノ大統領の敵を取ること。私憤だ。

 彼の信念は、「弱者のための政治」だ。自殺を遂げた者は最も弱者だと考えているのだろう。弁護士としては適していても、政治家としてはどうだろう。

 そして、NOを本人の前では言えない。韓国国内では、日本敵視の発言を躊躇なく語るが、日本関係者と会うと、いいおじさんの体でにこやかに話を聞き、うなずく。自分から発言することは少ない。NOを言わないからと言ってYESではない。そのあいまいさが国際政治の混乱を生む。

 弁護士から突然大統領になった彼には、側近も派閥もない。先ごろ辞任したグ氏にこだわったのは、自分の味方になり得る相手が欲しかったと推測できる。そして、自分の足元を揺らがせる悲劇への階段を上り始めている。上り坂はきついものだが、彼は間違いなくものすごいスピードで駆け上がっている。まるで、ノ大統領に追いつこうとするかのように。

韓国の国旗