日常的に発射されている催涙弾は香港市民の健康を脅している。地元メディアによると、このほど、塩素ざ瘡(クロルアクネ)と診断された市民が出た。民間組織は、催涙ガスとの関連していると疑っている。

香港の民間組織・公共衛生研究社は14日、催涙ガスの主成分と影響について声明を発表した。それによると、催涙ガスの主要成分であるジオキシンは、強い毒性のある化学物質ダイオキシン類。暴露量により生殖機能、甲状腺機能、免疫機能に影響を及ぼす。皮膚への暴露、食物、水、空気、その他の経路を通じて人体に侵入するという。

独立メディア・立場新聞の陳裕匡記者はSNSで、医師によりクロルアクネと診断されたと投稿した。医師は、「抗議の前線に出ている複数の記者は同じ症状がでている」と述べたという。

14日、警察報道官は記者会見で、この被害について「催涙ガスとの関連は証明されていない」「暴動鎮圧のために催涙弾を使用することは通常であり合法的な措置だ」と述べた。

香港のあるSNSグループは、香港警察が催涙弾が使用され始めた夏以降、皮膚疾患が現れた人々に対して、画像を公開するよう呼びかけた。赤ちゃんから成人までの投稿者は、湿疹が発生した腕、目の周り、もも、首などの部位の写真を上げた。症状はみみずばれ状のものや、ニキビ状のようなものまでさまざまだ。催涙ガスとの関連は証明されていないが、皮膚疾患のほかに、止まらない咳や喉の痛み、涙、色素沈着があると訴えている。

同グループは香港当局に対して、公共の場で催涙弾などの化学薬品を無差別な使用の禁止、化学成分に関する情報開示、学校や公園の除染を求めている。

同組織は米国立労働安全衛生研究所(NIOSH)や疾病管理予防センター(CDC)などの情報、また科学論文を引用して、ダイオキシンは脂溶性で、人体から排出または分解するのに長期間を必要とし、毒素が半分になるまで20年かかると警告している。

6月に市全体の抗議運動が開始されて以来、7千発超の催涙ガスが発射された。催涙弾は住宅地、学校、介護施設、店舗、オフィス街などに広がった。

同組織は、ガスが噴射された地域からは直ちに離れ、汚染された場合の対処法を公開している。

警察は12日、学生や民主派市民が滞在する香港中文大学に進入するため、少なくとも約2000発の催涙弾を発射した。

10月、現地メディアは、香港警察は米国産の催涙ガス弾の在庫を切らしたために、このほど、中国本土からガス弾を購入したと報じた。警察は、使用するガス弾についての情報を開示する要求を拒否している。

香港の陳肇始(ソフィアチャン)食品衛生局長は、警察が使用した催涙ガスの化学組成について、同部署が十分な情報を受け取っていなかったことを認めた。

(翻訳編集・佐渡道世)

11月12日、香港警察が放った催涙弾のキャニスターが収集され、傘に盛られた(DALE DE LA REY/AFP via Getty Images)