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合成麻薬のMDMAを所持していたとして逮捕された女優の沢尻エリカ容疑者を巡り、2020年1月から放送予定の大河ドラマ「麒麟がくる」に沢尻容疑者を起用する予定だったNHKは対応に追われている。同局はキャリコネニュースの取材に対し、

「(放送日の変更、撮り直しについて)検討中です」

と回答。今後の対応はまだ不明だが、「犯罪を犯した人を公共放送では使いづらいだろう」といった声もある一方、「沢尻エリカさん収録分を予定通り放映してください」と題した署名運動が始まるなど賛否両論あるようだ。

「予定通り放映して!」 署名運動がスタート


沢尻容疑者は20年1月5日から放送予定の「麒麟がくる」で、主要キャストの1人として、織田信長の正妻・濃姫役を演じることになっている。一部報道によると、撮影は6月に始まり、既に10話程度まで収録済み。沢尻容疑者演じる濃姫は、予定通りに放送されるとすれば初回から登場予定という。

沢尻容疑者は自室のアクセサリーボックスの中に、違法薬物の入ったカプセル2錠を所持していたとして、警視庁が16日に麻薬取締法違反(所持)容疑で逮捕した。報道されるや否や、ネット上ではすぐに大河ドラマの放送日程を心配する声が相次いだ。

オンライン署名サイトChange.orgでは18日、「NHKは大河ドラマ『麒麟がくる沢尻エリカさん収録分を予定通り放映してください!」と題した署名運動が始まった。発信者は

「芸能界が薬物事件を起こした芸能人に対し刑罰以上の私的制裁を加え、吊るし上げや辱めを与えることは、薬物問題に苦しむ一般の当事者や家族にも多大なる悪影響を与えており、社会からの孤立や私的制裁恐れ、支援や相談に繋がることを困難にさせています。また、薬物依存の回復施設への排除運動などが各地で加速しています」

と警鐘を鳴らしており、同日午後7時現在でおよそ2000人が賛同を表明している。

「留置場から出てきたら応援してほしい」

自身も違法薬物を使用した経験がある依存症回復施設「館山ダルク」代表の十枝晃太郎さんは「薬物には厳しい国でいいと思う」とした上で、

「芸能人のドラマ降板に限らず、一方的に会社をクビにされるケースが多い。子ども、社会に対する悪影響という考えも理解できるが、留置場に入り、裁判を受けている時点で司法的制裁を受けていると言えるのではないか」

と考えを述べる。さらに、「留置場から出てきたら応援してほしい、というのが本音。治療しながら仕事することもできるので、復帰には寛容な国であってほしい」と語った。

一方、ITジャーナリストの井上トシユキさんは

「日本は法治国家で、駄目なものは駄目。犯罪を犯した人を公共の場で使いづらいということはあると思う」

ときっぱり。さらに「NHKは公共放送なので、受信料を払っている国民の声、意見に耳を傾けるべきだろう」とした上で、

「違法薬物は『被害者がいないから軽度』と思ってしまいがちだが、それは大きな勘違い。多額の資金が反社会勢力に流れていて、それが拳銃に代わり、人を傷つけることもある」

と悪質性に言及した。更生については「薬物を断ち切った上で、芸能界に復帰するのはいいと思う」と見解を語った。

ネット上でも、意見は二分している。「沢尻エリカはもう見たくない」などと厳しい声がある一方、

作品に罪はない。そのまま放送して」
「直さず放送して、撮り溜めていたのが切れたら代役に変えればいいだけ」

などといった、予定通りの放送を求める声も少なくない。テロップで説明を入れればいい、という案も出ていた。

違法薬物が原因で大河ドラマの出演者を変更するとなれば、1月から放送している同局の「いだてん~東京オリムピック噺~」に続くことになる。放送真っ只中の3月、出演していたピエール瀧被告がコカインを使用したとして、麻薬取締法違反(施用)容疑で逮捕されると、同局はすぐに出演シーンをカットした放送に切り替え、1週間後には代役が発表される事態となっていた。