仕事の休憩時、後輩や部下などに「これで(このお金で)あなたと私の分のコーヒーを買って来て」とお金を渡し、買ってきてもらった経験などはあるだろうか。そんな際、お釣りを返してもらえなかったら……。「教えて!goo」にも「自販機のお釣りについて」と、後輩社員に130円の缶コーヒーをごちそうしようと150円渡したが、お釣りを返してもらえなかったユーザーが、「20円のことなので気にはしていないが、このような場合どうすべきか」と質問していた。そこで、マナー講師である矢部恵子さんに、おごる人、おごられる人、それぞれの適切な振る舞いについて話を聞いてみた。

■おごる人の適切な振る舞い

矢部さんは、「お釣りの金額にもよる」と前置きした上で、おごる人がお釣りは不要と考えるのであれば、明確に伝えてあげるとよいと教えてくれた。

「お金を渡して買い物などをお願いし、お釣りをお礼としてお渡ししようと思うなら、ストレートに気持ちを伝えてあげましょう。数百円であれば『もしよかったらお釣りはお茶代にでも使ってください』など、数十円程度ならば『お釣りは不要です』と一言伝えてあげると、お互いがモヤモヤせずに済みますね」(矢部さん)

同様に、お釣りを返して欲しい場合も、事前にきちんと話しておくべきだそうだ。

お釣りを返してもらえなかった場合、おごった人は不快に感じることもあるでしょう。おごってもらった人がなぜ返さないのか、そのような感覚は人それぞれなので理由付けは難しいですが、おそらく『少額なので返さなくてもよいだろう』と判断しているケースが多いはずです。お互いが嫌な気持ちにならないためにも、何も触れずにいるのが得策でしょう。ですが、お釣りを返して欲しい場合は、後悔しないためにも、お金を渡す際にはっきり伝えておくべきですね」(矢部さん)

「足りないと困るから、多めに渡しておくね」や、「少し多いかもしれないけど、これで買って来てもらえる?」など、お金を多く渡していることを伝えると、お釣りが生じる前提になり、返して欲しいという意思表示にもつながるかもしれない。

■おごられる人の適切な振る舞い

誰におごってもらおうが、手元に残ったお釣りを断りもなく自分の物にしてはいけないだろう。だが、「お釣りは要らないよ」と言われたら、どうしたらよいか。

「もし『お釣りは不要です』とか、『お釣りは何かに使ってくださいね』などと言われたら、金額によりますが、基本的には『ありがとうございます』ときちんとお礼をした上で、相手の気持ちと共に受け取りましょう。金額が少し高いようでしたら、後日『あの後コーヒーをいただきました! ごちそうさまでした』などと伝えてあげると、おごった人も気分がよいですね」(矢部さん)

お釣りは不要」と言われても、返したいと思う人は、どのように返すと相手の気分を害さずに済むだろうか。

お釣りを返す場合は、後日、小袋などに入れ、『先日のお釣りです』などと書いたメッセージカードやレシートを添えてお返しすれば、より信頼度がアップするでしょう」(矢部さん)

目的を果たしたあとの少額のお釣りとは言え、「お金のことなので以後の信頼関係にもつながります」と矢部さん。おごる人から「お釣りを返して」と、言いにくいシチュエーションは多そうだ。基本的にはおごってもらうほうが、お釣りを返すことを前提にマナーを心得ておくべきなのかもしれない。

●専門家プロフィール:矢部 恵子
(株)エリタージュ代表取締役。パークハイアット東京勤務後、スイスにて就職。帰国後、外資系証券会社勤務を経て、銀座フィニッシングスクール ティアラファクトリーを設立。現在は、銀座校・パリ校にて、上質なプロトコールマナーを指導している。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

マナー講師に聞いた!お金を渡して買い物をして貰った際のお釣りは返してもらう?