2019年12月31日をもって、“学生限定”のSNSアプリ「ひま部」がサービスを終了する。2015年サービス開始から、中学生高校生を中心に話題を集め、Android版だけで累計10万ダウンロードを超えて「No.1 学生限定コミュニティ」を謳(うた)っていた。

ひま部公式HP
「ひま部」公式HP
 トーク画面や通話・グループチャットなど豊富な機能を持ちながら、登録に必要な個人情報は生年月日のみと匿名性が高いことが特徴だが、サービス開始当初から出会い目的の利用が懸念されていた。

 2018年10月には、同アプリを通じて中学1年の女子生徒に性的暴行を加えたとして、東京都豊島区の広報課長が逮捕されている。また、警視庁情報技術犯罪対策課の発表によると、警察が検挙した児童ポルノ事件のうち11%が「ひま部」を経由したものだという。

 ひま部では本当に学生が出会っているのか。また、性犯罪の場として使われているのか。今回、bizSPA!取材班では利用者に、アプリの利用実態について話を聞いた。

“学生版出会い系アプリ”だった?

ひま部_登録画面
簡単な年齢確認とプロフィールで登録することができる(画像は学生提供)
「ひま部を通じて、彼氏ができました」と語る横山理沙さん(仮名)は、神奈川県高校生2年生。“VIPメンバー”という月額500円の有料機能を利用している。

「友達が使っていたので気になって始めました。使っている人は30人のクラスに2、3人いるかなというくらいですね。私はバンドが好きなので、同世代でバンド友達を増やしたくて始めたんです。でも、教えてくれた友達もひま部を通じて恋人を作っていたので、そういった期待もしてましたね」

 まるで“学生版出会い系アプリ”といったところか。

VIPメンバーになると利用してる地域を絞ってユーザーを探せるので、そこから話が会う人を探してます。使い始めて1か月くらいなんですが、メッセージで仲良くなった人と何人か会って、その中の一人と付き合うことになりました」

セクハラまがいのメッセージが届くことも

 どうやら、ひま部が出会いの場になっているという噂は事実のようだ。

「でも、性被害を受けたりとか援助交際とかの噂は、周りで聞いたことありませんし、自分も被害に遭ってません。たまにセクハラまがいのメッセージも来ますけど、そういう時はすぐにブロックできるので。

 ひま部って、ユーザー全員のつぶやきが表示されるタイムラインがあるんですけど、そこに『ひまだから話そう』とか『バンド好きな人、こちゃ(個人チャットの略)』って送ると、直ぐに話し相手が見つかるんですよ。だからウザい人はすぐにメッセージを切れるし、特定されることもないし。そういう気楽さはありますね」

 年内に閉鎖されることに関しては、「こうやって同世代でコミュニケーションをとる場所が減るのは悲しいですけど、理由はわからなくもないので、正直仕方ないかなって思ってます」とのことだ。

未成年の性犯罪の温床となったワケ

ひま部_グループ画面
ひま部のグループチャット(画像は学生提供)
 横山さんのように友達作りの場として使っている人もいる一方で、やはり、援助交際目的で使ってるという声も聞かれた。

「割り切りで使ってる。というか、普通に学生じゃない人が多いと思いますよ。年齢確認も、身分証明書の生年月日を送るだけだし、どこかから画像拾ってくれば簡単に使えますよね」

 東京都の高校3年生、中嶋優香さん(仮名)はそう話す。あくまで個人的な肌感覚だが、「ユーザーの4~5割は社会人じゃないんですか」とも述べる。

「同世代でも、ヤリ目(性行為目的)の人めっちゃ多いですよ。グループチャットでも定期的に『変態あつまれ』っていうグループができたりして。でも、実際に会ってタイプだったら関係を持ったりします」

 どうやら女子学生側でも、援交目的で利用している学生は少なくなさそうだ。こういった出会いやすい環境が口コミで広がって性犯罪の温床となってしまったのかもしれない。ひま部の運営元である、株式会社ナナメウエの運営資料によれば、「タイムラインユーザー情報等の公開情報をおよそ30名体制(2019年4月現在)で365日・24時間人的監視」しているというが、悪い芽は摘み採れきれなかったようだ。

ひま部終了に運営の見解は…

ひま部Twitter
ひま部、公式Twitterより
 ひま部の運営会社である株式会社ナナメウエは、公式ブログを通じて「運営の手が届かない他社製アプリを交換してその中で犯罪行為を行ったり、実際に出会って乱暴をしたり。個人情報タイムラインに載せる嫌がらせや、なりすましが多く発生しました。年齢を偽って登録する大人もいました」とサービス終了の経緯を説明している。

 またその上で11月10日、公式Twitterでは「気合い入れて、新サービス考えてるンゴ」と、代替SNSの開発も示唆した。

 匿名性の高さが仇になったひま部。新サービスが、未成年が安全に利用できるアプリとなることを願うばかりだ。

TEXTモチヅキサトシ

【モチヅキサトシ】

bizSPA!取材班のライター。音楽と鉄道と銭湯が好き

簡単な年齢確認とプロフィールで登録することができる(画像は学生提供)