Valveは、『Half-Lifeシリーズ最新作Half-Life: Alyx』を発表した。まだ詳細は明らかではないが、VR向けタイトルとして11月22日に正式に発表される。

 1998年に発売された『Half-Life』、2004年に発売された『Half-Life 2』ともゲーム業界に衝撃を与えたブレイクスルーな作品として極めて高い評価を受けており、最新タイトルでもその詳細が注目される。

 『Half-Life』は、主人公ゴードン・フリーマンブラックメサ研究所に着任するオープニングの「移動するだけ」のシークエンスが顕著だが、それまで撃ち合いが主体だったFPSから、大々的にストーリーパズル、それらを盛り上げる演出が加わり、FPSというジャンルの可能性を押し広げた作品として知られている。

 AIで制御された敵が臨機応変に立ち向かってきたり、敵同士が対立していると主人公と関係ないところで争をはじめていたりする挙動など、こういったことは今でこそ当たり前だが、当時は斬新なものとして受け止められた。

 本作で初めて使われたGoldSrcエンジンは、その汎用性の高さから多くのMODが作られ、そのなかでも『カウンターストライク』、『Day of Defeat』などは商業化されて大ヒット。こういったMODの存在も『Half-Life』がロングセラーを維持し続けた理由のひとつだ。

(画像はYouTube『Half-Life』より)

 その次回作『Half-Life 2』は当時、最先端のグラフィックスとキャラクターアニメーション、さらに物理的な挙動をゲームの中でシミュレーションするSourceエンジンによって、再び賞賛された作品だ。オブジェクトの形状や浮力、重量などの物理的なシミュレーションパズルや戦闘に付け加え、新感覚なゲームの楽しみ方をもたらした。

 GoldSrcエンジンと同様、Sourceエンジンからも様々なMODが生み出された。その中でも『Dear Esther』は「ウォーキング・シミュレーター」という新しいジャンルが確立された。Sourceエンジンと同時期に物理シミュレーションに取り組んでいた学生のゲームがあり、それをValveが注目して生み出されたのが『Portal』である。まったく新しい重量空間パズルゲームは、こちらも大ヒットを記録。他にもSourceエンジンが使われて大ヒットしたタイトルとして『Team Fortress 2』、『Left 4 Dead』などがある。

(画像はSteam『Half-Life 2』より)

 その後、『Half-Lifeシリーズは、『Half-Life 2: Episode One』、『Half-Life 2: Episode Two』をエピソード形式として展開。ストーリー的には『Half-Life 2』の直接的な続編となり、「コンパニオンキャラクター」とも呼ばれる相棒キャラクターが追随して語られるドラマティックなストーリーは再び高い評価を得た。

 しかし、この2007年の『Half-Life 2: Episode Two』以後、正式な続編は沈黙。そこで今回、12年ぶりに突然発表されたのがVR向けタイトルHalf-Life: Alyx』となる。「Alyx」とは、『Half-Life 2』以後に登場している女性キャラクターAlyx Vanceと思われる。ストーリーの起点ともなっている重要なキャラクターなので、どのような形で彼女にフォーカスが当たるのかが気になるところだ。

(画像はYouTube『Half-Life 2: Episode Two』より)

 発売するたびにゲーム業界に衝撃を与え、さらにMODエンジンの派生作品が新しいジャンルや大ヒットを生み出す『Half-Lifeシリーズ。VR向けタイトルという点も気になるところだが、VRゲームに新たなメルクマークを打ち立ててしまうのか。今後のビデオゲームの行方を占う点において非常に注目に値するといえるだろう。

ライター福山幸司

85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter@fukuyaman