一見すると、「否歌舞伎町的」な事件にみえるが、考えようによっては今後の街の在り方を示唆する事件となるかもしれない。

今年4月、通行人に暴行を加えてバッグを奪ったとして、元暴力団員の男性2人が警視庁に逮捕された。11月15日日本テレビ系列ニュースが報じた。

容疑者らは歌舞伎町の路上で30代の男性の足を引っかけ、「調子に乗るなよ」と言いながら、暴行を加えてきた。被害者によると、容疑者らとは一面識もないという。要するに、藪から棒に因縁を吹っ掛けられたワケだ。男性は、現金5000円などが入ったバッグを奪われ、さらにそのときの暴行で鼻の骨を折るという重症を負った。突然の不幸というしかない。

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暴行が起きた場所は、行政区分でいえば歌舞伎町2丁目。ラブホテル街として知られ、中心部に比べれば夜間は格段に静かになる。もっとも、静かと言っても多数のラブホテル利用者、歌舞伎町の住人たちが行き交っており、けっして閑散としているわけではない。そこでの暴行・強盗事件というのだから、歌舞伎町の治安の悪化を感じざるを得ない。

日テレによれば、主犯格と見られるT容疑者は、「バッグはとっていない」などと容疑を一部否認しているという。詳細は、起訴され裁判になって明かされてくることであろう。とまれ、この事件の問題点は、記事の冒頭にも書いたように、今後の歌舞伎町の在り方に影響する可能性があり得ることだ。それは、逮捕された容疑者らが元暴力団組員だったということ。

歌舞伎町が東洋一の歓楽街であり、それに群がるように多数の暴力団がシノギを削っていることは周知の事実だ。それだけに、暴力団組員が歌舞伎町にいることは珍しくないし、筆者も時折目にする。ある意味では、日常とも言えよう。しかし、“元”とはいえ、暴力団ヤクザが面識のない堅気に因縁をつけて金品を奪うというのは、この街では珍しい部類に入る。

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誤解を恐れず言えば、歌舞伎町は暴力を根源とする裏の部分と華やかな表の部分は区別されており、普通、堅気がその部分と接点を持つことは少ない。違法賭博、違法風俗店(ぼったくり店)などへの出入り、不動産を巡るトラブルなどが起きない限り、堅気にとっての歌舞伎町は「安全」なのである。今回の事件は、その安全な街の「古き慣行」が破れつつあるのか……という一抹の不安を残すとも言えよう。

もっとも、加害者個人の性行であり、歌舞伎町の他の暴力団とは関係はない、という見方もあろう。また、そうあっても欲しい。だが、暴対法、暴排条例の締め付けは歌舞伎町にも影響しており、暴力団アンダーグランド化が懸念されている。さらに、準暴力団とも言える半グレの影響力が増していることを一部マスコミが伝えるなど、街の暴力地図に地殻変動の動きもみられている。一見スルーしてしまいそうな出来事だが、気になる事件であることに違いはない。(取材・文◎鈴木光司)

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覚悟、あるんですか?(写真はイメージです)