市場規模が1兆5000億円を上回る、大規模な日本のペット産業。基盤となっているのが、子犬や子猫を扱うペットショップだが、その裏には「動物=商品」と見なす、残酷な現実が隠されている。前回に引き続き、ショーケースの中にいる動物たちに何が起きているのか?

 今回は、元従業員が告発する「売れてナンボ」のビジネスモデルから生まれる地獄のような構図を紹介する。

◆過剰な仕入れと余剰在庫。売れ残れば“生き地獄”

ショーケースの裏側、店のバックヤードには”賞味期限”の切れた犬猫たちが。掃除もまるで行き届かず、衛生状態も劣悪だ

 動物がモノ扱いされている実態の象徴が、ショーケースに入れた犬猫を店頭で陳列販売する「生体展示販売」というビジネスモデル。そこについて回るのが過剰な仕入れと余剰在庫の発生だ。都内にあるホームセンター内のペットショップに勤めていたAさんは言う。

「40匹近い犬猫がバックヤードに積まれているにもかかわらず、経営者は週に2回、生後2か月くらいの“手のひらサイズ”の子犬や子猫を3~4匹仕入れてきました

◆「ショーケースを旬な子で埋めようとする」経営者
 ただ、ペットはそう簡単に売れるものでもない。Aさんの店でも「多いときで一日2匹くらい。普段は1匹、売れるか売れないか」だったという。にもかかわらず、短いサイクルで次々に仕入れてくるのはなぜなのか。

「生体展示販売は時間との闘いです。店頭で高く売れるのは体が小さい生後3か月くらいまで。生後5か月を過ぎて体が大きくなると、展示してもなかなか売れなくなります。だから次々に新しい子を入れて、ショーケースを旬の子たちで埋めようとするんです」

 短い“旬”を過ぎた犬猫たちは”余剰在庫”扱いとなる。そして「その子たちに待っているのは、生き地獄です」(Aさん)という。

◆死ぬ時を待つ動物たち
「ウチの店のバックヤードには、何年も狭いキャリーケースに閉じ込められたま、死ぬ時を待つ動物がたくさんいました」(同)

 ペットショップで最優先されるのは「いかに利益を出すか」ということ。動物は“鮮度が勝負”の商品にすぎない。

ペットの生体展示販売は“命ある動物を、売れるうちにお金にする”行為。それを異常だと感じないこと自体がおかしいんです。命を売り買いするようなモラルに反するビジネスは、人間として大切な何かが欠落していなければできないことだと思います」(Aさん

<取材・文/柳沢敬法 写真/大房千夏 谷口真梨子 日本動物福祉協会>

ショーケースの裏側、店のバックヤードには”賞味期限”の切れた犬猫たちが。掃除もまるで行き届かず、衛生状態も劣悪だ