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 みなさんこんにちは、アールスリーインスティテュートの金春利幸です。編集担当から雑に依頼され、今回はニューヨークからKintoneユーザー会の模様をレポートすることになりました。なお、特に深い理由はありませんが、写真はほぼモノクロでお送りします(ツッコミは歓迎します)。

ニューヨーク初開催のKintoneユーザー会に参加してきた

 2019年11月18日ニューヨークで初めての開催となるKintoneユーザー会が開催された。サイボウズはKintoneの北米での展開に力を入れており、サンフランシスコには米国法人Kintone Corporationを設立され、販売活動も行なっている。最近、北米向けのKintone環境をAWSに移転したことも日本国内で話題になった。北米での本拠地は西海岸だが、2018年4月より東海岸のニューヨークでの活動にも力を入れており、すでに日系企業を中心に数十社の導入実績を挙げているという。

 Kintoneユーザー会は、Kintone Corporation主催でKintoneユーザーを集め、事例発表等を行なう会であるが、これまでは西海岸地域(ロサンゼルス)でのみ開催されてきた。今回、ニューヨークユーザーのKintone熱の高まりに答える形で、はじめてニューヨークでの開催となったわけだ。会場はマンハッタンにあるWeWork。ちなみにマンハッタン地域だけでも50箇所以上のWeWorkがあるそう。最近話題のWeWorkではあるが、利用者も多くネガティブイメージは全くなかった。

 今回は、初開催を記念すべく、日本から3名のKintoneの猛者たちが参加した。斎藤栄さん(ラジカルブリッジ代表、以下栄さん)、四宮琴絵さん(ジョイゾー取締役 Chief Operation Officer、以下琴絵さん)、そして本記事の著者である金春利幸(アールスリーインスティテュート Chief Innovation Officer)である。

 当日はKintone Corporation Vice President, East Coastの弘田洋介さんから、会の趣旨とKintoneの近況についての説明があった。

 2018年4月からニューヨークで本格的に活動を開始したKintone Corporationだが、すでに東海岸地域で数十社の導入を獲得しており、また導入したユーザーにはKintoneの猛烈なファンが多く、盛り上がりを見せている。ただ、これまでユーザー同士のつながりがなく、みなさん孤独に業務改善を続けていたが、今回Kintoneユーザー会が開かれることによって、ユーザー間のつながりも生まれ、また日本からの最新事例や連携サービスの紹介ができるまでになった。

 なお、今回の参加者の所属部門は、総務・人事の方、経理の方が多く、その他はIT部門、デザイン部門など幅広くなっている。Kintoneの使い方では、申請系での利用がほぼ半分、それ以外では案件管理や他社との情報のやりとり等となった。申請系が半分締めているところが特徴的となっている。

Kintoneでのシステム開発の価値

 琴絵さんからは、ジョイゾーのサービスとしておなじみの「システム39」について、その取り組みや意義、従来のシステム開発とは異なる価値についての紹介のあと、Kintoneを利用における心構えや事例が披露された。

 3人の子供の母である琴絵さんだが、今回のニューヨーク出張にあたって、子どもたちは見送ってくれなかったというエピソードを寂しそうに語るところから話は始まった。

 元SEではあるものの専業主婦の期間を経て、もうプログラミングはできないなと感じていたところにKintoneと出会い、これならこれまでの知識も活かせると、Kintoneでのシステム開発に参加するようになった。

 ジョイゾーが行なっている「システム39」は、日本初の定額制システム開発サービス。対面型SI開発の特徴として、以下の3点が挙げられた。

 ただ、Kintoneを使ってシステム化する時は次のポイントが重要だと琴絵さんは話す。

 次の段階として、「自分たちでKintoneアプリを作るときは、データを正しく設定することが大切。単体のアプリで終わるのか、複数のアプリで構成されるのかによってデータ設計の方針が変わってくる。そういったところを見据えてデータを設計をしていく必要がある」

 事例として、2つの事例が紹介された。

 1つ目は、星のやの事例が紹介された。近隣のレストランをスプレッドシートに管理していたが、それをKintoneに移したことによって、お客様のリクエストにあったレストランを素早く検索できるようになり、更に、お客様とのひもつけが管理されることによって、データベースとしての構造をしっかり作り、情報の多面的な利用ができるようになった。また、連携サービスと組み合わせることによって、転記ミスが減り、作業効率もアップした。

 2つ目は、アミックスコム。ケーブルテレビの工事の管理のため大量の紙のやりとりが行われていたものを、工事業者とゲストスペースでやりとりできるようにすることで、情報が可視化され共有されたことにより、年間100時間工数削減が実現された。ここでは、スケジュールを見やすくするために「カレンダーPlus」を利用した。

 最後に、ジョイゾーからアメリカにも提供されているプラグインが紹介され、トップバッターとなる重要なセッションが締めくくられた。

カレンダーPlus」での効果的なスケジュール共有

 「クラウドおじさん」こと栄さんから、Kintoneの大人気プラグインである「カレンダーPlus」の説明。「カレンダーPlus」は多言語対応およびタイムゾーン対応もしており、Kintoneの北米環境である kintone.com でも問題なく利用することが可能だ。北米地域ではKintone Corporationを通じて販売されている。

 Kintoneの標準カレンダービューには、色分けできない、ドラッグできない、表示が隠れる、複数日設定できないなど不満が多いため、2015年から提供を開始したカレンダーPlus。老舗プラグインの1つであり、すでに日本ではかなりの導入実績を誇っている。用途も社内スケジュール管理、会議室予約、訪問介護の予定実績管理、音楽教室のレッスンルーム予約など幅広い。

 カレンダーPlusには、BasicProの2バージョンある。Basicは月や週のカレンダーの表示に対応、Proにすると担当別、会議室別などリソースを別に軸を設定したカレンダーの表示が可能となる。

 Basicバージョンでの活用シナリオとしてグループスケジューラーが紹介された。カレンダーPlusでの表示内容はKintone標準の絞り込み条件と連動しているため、絞り込み条件をうまく設定することで、必要な見え方でカレンダーを見られる。

 Proバージョンでは、工程管理の例が紹介された。工程において利用される機材の割当を管理するため、リソース表示を活用し、機材ごとの予定を見やすく表示することできるようなると紹介。また、軸をプロジェクト別に切り替えることで、プロジェクトごとにどのような予定で機材を使うのかもわかるため、機材ぐりが安定する効果が得られる。

 既存アプリへのカレンダーPlus導入のコツとして、既存アプリはそのままにカレンダー用のアプリを作成、そこへルックアップでひもつけるのが効果的だと紹介された。

 北米では、スケジュールを共有するという文化が日本ほどないらしく、過去にサイボウズグループウェアで北米市場に挑戦したときも、このスケジュールの共有の部分で苦戦したそうだ。

 カレンダーPlusを用いたスケジュールの共有は単なるスケジュールの共有に留まらず、Kintoneを用いた業務プロセスの改善の中でスケジュールの共有を行えるため、単純なカレンダーの共有とは異なる新たな価値を提供できるものとして期待できると思われた。

ノンプログラミングでカスタマイズできる「gusuku Customine」に驚き

 金春からは弊社の「gusuku Customine」の紹介を行なった。gusuku Customineは北米での販売もKintone Corporationを通じて行なっており、すでに北米での導入実績もある。今回は、新たに先週追加されたAmazon Connectとの連携デモも交え、gusuku Customineを用いてノーコードJavaScriptによるプログラム開発なし)で、Kintoneをカスタマイズできるようになるメリットについて説明した。

 今回の参加者にはJavaScriptでのカスタマイズを行なっている人はおらず、gusuku Customineを用いることでプログラミングなしにカスタマイズができることに参加者は驚いていた。

 多数のプラグインを導入することによってプラグインの競合が発生し、動作に問題が起きるということは日本では比較的知られつつあるが、北米ではまだ提供されているプラグインが少ないこともあり、この問題を知らない人が多い。gusuku Customineでカスタマイズしている限りではこの競合問題は発生しないため、大きなメリットとなると紹介した。

最後は3人が連携してのライブ開発

 これまで日本でもやったことのない、栄さん、琴絵さん、金春が協力してのライブ開発デモが行なわれた。ニューヨークでは、申請業務にKintoneが使われることが多いということで、出張申請のアプリの開発デモが披露された。

 先にも触れた通り、こちらではスケジュールを共有するという文化が乏しく、誰にも共有することなく出張に行ったりすることが多い。出張申請も出されないことも多く、気がついたらいないということが多発しており、現地の総務・経理部門の方の悩みのタネとなっている。

 もちろん申請を出してくれないという文化についてはシステムを作ってすぐにどうにかなる問題ではないが、できるだけ面倒をかけない出張申請の仕組みを用意することは大切だ。そこで今回3人でいかに短時間で便利なシステムを開発できるかというチャンレジをライブ開発という形で行った。

 まず、琴絵さんがシステム39の手法を用い、参加者にヒアリングを行ないながら、Kintoneアプリを作成していく。会場に必要な項目をヒアリングし、開始日時・終了日時以外にも交通費、宿泊費、出張手当が追加された。

 基本のフォームができたら、申請のための承認フローを作っていく。Kintoneプロセス管理を利用し、「承認前」-「承認中」-「承認済」というフローを作っていく。また、出張費用に応じて承認フローを分岐させる設定を入れていく。

 ここで琴絵さんが「Kintoneプロセス管理の設定画面って、ぶっちゃけ使いにくいです」とぶっこんでいくと、参加者全員の同意の笑いが起きた。みんな思っていたことなんだと、Kintone Corporationのメンバーも苦笑いするしかない状況に・・・。

 基本のアプリの形ができたので、次に、栄さんが申請された出張予定を「カレンダーPlus」を用いることで、見やすい形で情報共有できるようにしていく。作者なので当然なのだが、とてもスムーズに設定が進み、あっという間にきれいなカレンダーが表示されるようになった。

 ただ、ここまでの開発で要望と問題が見つかる。要望は「申請中の出張と承認された出張はひと目で区別できるようにしたい」で、問題が「出張開始日と出張終了日を逆に入れられるとカレンダー表示で問題が起きる」だ。そこで金春がgusuku Customineを用いて、カスタマイズを実施した。説明しながら5分ほど設定するだけで要望と課題を解決した。

 実は今回のライブ開発を実施することに決めたのは、前日だった。出張申請を作るということだけは決めていて、それ以外は細かな調整は何もできない状態で本番に挑んだが、そこはKintoneの強いエコシステム仲間ゆえ、非常にスムーズに進んだ。参加者は、かなり入念にストーリーを作り込んでいたと思われたらしく、あとからアドリブであることを話したときに、3人の阿吽の呼吸っぷりに驚いていた。

Kintoneはマンハッタンで摩天楼の輝きとなれるか?

 まだ日系企業が多いという現実があるものの、Kintoneは確実に北米市場に浸透してきており、これからはローカル企業への浸透も期待できる状況にある。ここまでのKintone Corporationの活動で、この厳しい北米市場での戦い方も見えてきており、エコシステムを支えるパートナーとして、今度の北米市場には期待したいと思える会となった。

 会の終了後は、個別にたくさんの質問も出てきた。会の中では質問が出ないところは、ニューヨークとはいえ、日本っぽい感じだ。とはいえ、ニューヨークユーザーにとって、Kintoneエコシステムの主要メンバーに質問できる機会はあまりなく、みなさん積極的に質問されており、Kintoneで業務をよくしていきたいという熱が感じられた。

 そして、ニューヨーク摩天楼の輝きに吸い込まれていく3人だった……。

Kintoneはマンハッタンで摩天楼の輝きとなれるか?