ヨドバシホールディングスの藤沢昭和社長を「商売の師」として仰ぎ、親交を深めるニトリホールディングスの似鳥昭雄会長は、11月16日に大阪・梅田でオープンしたヨドバシカメラの巨大商業施設「LINKS UMEDA」の開業記念セレモニーの挨拶の中で、「全てが驚きの数字だ」とヨドバシ流の経営の凄みについて語った。

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●ニトリの30~40店相当の売上高



 挨拶の冒頭で似鳥会長は、「ユニクロの柳井会長やサントリーの鳥井副会長がいらっしゃる前で、私ごとき格下の者が挨拶するのは無理ですと断ったが、長年の付き合いだからやれと言われて仕方なく挨拶させていただく」と、笑いを誘いながらも藤沢社長との交流の深さをにじませた。

 そして、ヨドバシカメラ マルチメディア梅田の売場面積が約1万1000坪(3万5600平方メートル)で目標年商が1200億円である点に触れ、「すごい売り上げだなと。うちの店でも、1店当たり40~50億円が関の山。1000億円を超えるとはびっくり」と1店での売上規模の大きさに驚いた。

 ヨドバシカメラは約200店舗が入るLINKS UMEDAの目標年商500億円と合わせて、合計1700億円の目標を掲げる。ニトリの約30~40店分の売り上げを、梅田駅前の1店舗でつくるというのだから、似鳥会長が驚くのも無理ない。

 なお、ヨドバシ梅田タワー(建物延べ床面積22万平方メートル)は、LINKS UMEDA(5万5100平方メートル)とヨドバシカメラ マルチメディア梅田、11月27日にオープンするホテル阪急レスパイア大阪(4万6000平方メートル)の総称だ。

 さらに、似鳥会長は「増床というから2割か3割、4割増しかと思ったら倍以上ということで、それも驚き」と、マルチメディア梅田とLINKS UMEDAを合わせた延べ床面積2万7200坪(9万平方メートル)に増床する広大さにも驚きを隠さなかった。阪神甲子園球場の約2.4個分に相当する広さだ。

 「その上、テナント数が200店、駐車場が1200台、投資金額が土地代を含めて約2000億円というから、すごい金額だなと。売上高は1700億円、来場者は7700万人、全ての数字が想像できないものでびっくりしている」と、経営者らしく数々の数字を列挙しながら、あらためて藤沢社長の経営手腕を讃えた。


●「ニトリさんはまだ早い」



 最後は似鳥会長ならではのユーモアを交えながら、7階にオープンした800坪(約2600平方メートル)のニトリに触れながら次のように締めくくった。

 「われわれが2001年の(マルチメディア梅田の)オープン時にテナントに入れてほしいとお願いしたら、ニトリさんはまだ早いと言われた。耐え忍んで、この度ようやくお願いしますと言ったら、そろそろいいかということで入れていただき大変光栄。商売の先輩で、とても尊敬している方のテナントに入れてもらえるのは本当に幸せで、梅田近辺のお客様に喜んでいただけるように頑張っていきたい」。

 9時30分のオープンには、藤沢昭和社長と藤沢和則副社長が親子そろって300人以上の行列をなす来店客を出迎えた。

 地下鉄御堂筋線梅田駅と直結していることや、新しく設置したペデストリアンデッキがJR大阪駅グランフロント大阪と結ばれていることなどから、その後も続々と客が押し寄せて、10時には多くの客でごった返すフロアもあるほどの盛況の中でオープンした。(BCN・細田 立圭志)
ヨドバシカメラの藤沢社長を「商売の師」と仰ぐニトリホールディングスの似鳥昭雄会長