(人事・戦略コンサルタント:松本利明)

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 こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手のコンサルティング会社などで24年以上、人事と働き方の改革を行ってくる中で「おやっ!?」と思えることが実は多く発生してきました。

 実は、世間で言われる「セオリー」の9割が間違っているのです。思ったような効果が出ないのは、計算ミスより計算式そのものが間違っているのです。うすうす、あなたも気づいているのではないでしょうか?

 仕事のパフォーマンスを上げ、生産性が高い状況を維持するためには、我慢や無理は禁物であることは皆さんも既にご存知ではないでしょうか。無理がたたって、燃え尽き症候群やメンタル不調や健康を害する事例を見聞きしたこともあると思います。

 そんな悲劇をさけるためGAFAなどでは、社員が良好なコンディションを保てるようにマインドフルネスを導入するなど、心身の健康を保つ努力が当たり前になってきていますが、実はそこには抜け落ちているポイントがあります。

 5万人のリストラ、6500名以上のリーダーの選抜と育成をしていく中、パフォーマンスを発揮し、常にベストコンディションを保っている、デキる人にはある共通項がありました。

 それは「歯」を大事にするということです。デキるビジネスマンは、虫歯がなくとも歯医者のもとへ定期健診に行き、歯のコンディションを保っているのです。

「歯が命」なのは芸能人だけでなくビジネスパーソンも

 私たちは、真っ白で爽やかな歯を目にすれば、そこに清潔感と知性を感じます。反対に、どんなに頭が切れる人でも、歯がタバコのヤニや茶渋でくすんだりしていると、魅力は台無しです。

 では、デキる人は好印象を与えるエチケットとして歯を大事にしているのかというと、実はそれだけではありません。デキる人が歯を大事にする理由は別にあります。

 デキる人は、健康と脳の老化防止は健康な「歯」にかかっていること、すなわち「口」にかかっていることを知っているのです。

 全米ナンバーワンのがんセンターで、ゲノム研究に取り組んでいる口腔医学博士の古舘健先生が書かれた、『口がきれいだと、健康で長生きでき 万病・突然死を遠ざける近道』(KADOKAWA)によると、「口から病気になる人が多い」そうです。

 口は外部に開かれているため、口を通して体内に細菌や毒素を取り込んでしまう可能性があります。そこで大事になってくるのが、口内環境の整備です。これができれば、がん、認知症、肺炎、脳梗塞心筋梗塞などの病気を予防でき、美しく健康になれるというのです。

 その際に特に重要な存在が「唾液」です。唾液は健康を守る「門番」なのです。唾液には虫歯の原因である酸を中和し、再石化を促して歯を守り、消化を助けます。さらに、「細菌ウイルスと戦う抗菌機能」もあるのです。

 口を開けて寝ていたら喉をやられて熱が出た、といった経験を持つ人もいるでしょう。これも、口の中が乾燥して唾液が減り、細菌と戦う力が落ちてしまったことが一因なのです。

「ありがとう」は自分を健康にする呪文でもあった

 古舘先生の本には、唾液の分泌を促す、誰でもできるノウハウが書かれていますが、特に注目すべきは次の2つです。

 第1は、「あ」「り」「が」「と」「う」と、口をしっかり開けて発声することです。口は「あ」の時に大きく開き、「い」の時に口角が横に大きく広がり、「う」の時にすぼみ、「え」の時にまた大きく開き、「お」では軽く開くことで、唾液腺を強く刺激します。

 私が携わった6500名の選抜リーダーは皆、「ありがとう」をはっきりと伝え、周りを動かしていました。「ありがとう」には人を動かすだけでなく、唾液腺を刺激して健康につながる、一石二鳥の効果があった、というわけです。

ガムを噛むことは健康につながる

 2つ目はしっかり「噛む」ことです。嚙む回数が増えることで食べ物の消化がしやすくなるだけでなく、唾液の量も増えるのです。噛む回数を増やす方法として最適なのが「ガムを嚙む」ことだそうです。

 そう言えば、デキる人はよくガムを嚙んでいます。糖質オフでキシリトール入りなど歯の健康に繋がるといわれる成分入りのガムです。噛むことは虫歯予防、唾液分泌につながるだけではなく、ストレス軽減効果もあります。

 さらに唾液には、アンチエイジングにかかわる若返りホルモンや成長因子が含まれており、肥満の防止にもつながるそうです。まさにガムは一粒で何度もおいしいのです。

噛むことがボケ防止にもつながる

 ベストセラー作家でもあり認知症専門医でもある長谷川嘉哉先生の『認知症専門医が教える!脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!』(かんき出版)によると、嚙むことには、脳の老化、認知症を防ぎ、改善する効果もあります。

 人の名前が思い出せない、もの覚えが悪くなったなど、認知症までいかなくても、物忘れが増えた、記憶力が若い頃より落ちたと感じている人も多いでしょう。

 実は、35歳を過ぎた頃から、人間の脳には認知症の原因物質が溜まりはじめるそうです。しっかり歯をケアし、ずっと自分の歯で噛み続けることができれば、いつまでも脳を刺激し、活性化させることができるのです。

歯医者は帰る時に次回を予約することで習慣化する

 正直、歯医者さんが好きな人はほとんどいません。それは、デキる人でも同じです。では、なぜ、デキる人は3カ月に1回程度、歯の定期健診を受け続けられるのでしょうか。実は彼らはそこで、習慣化の力を借りているのです。

 デキる人は仕事でもプライベートでも習慣化が得意です。彼らは、歯の検診に行った時にもその得意技を使います。終了時に次回の予約を入れてしまうのです。決して、「後で予約の連絡をします」とは言いません。「後で連絡・・・」はストレスがかかるからです。

 摩擦と一緒です。物は動き出すまでが摩擦係数が高く、いったん動き出したら摩擦係数が小さくなるのでラクに動かすことができます。逆に、流れを止めると強い抵抗が生じます。歯の定期健診も、特に痛みがない時だと、つい足が遠のいてしまうことをデキる人は知っています。だから終了時に3カ月後の予約を入れて、習慣化してしまうのです。

 定期健診が終わり、会計のタイミングで次回を予約すれば、定期健診にいくループは途切れませんし、精神的ストレスもなくなるのでお勧めです。

 予約がなかなか取れない高級寿司屋でも、食事が終わって帰る時に次回の予約をすると、楽に次回の予約が取れるのと一緒です。歯医者の後は、近くのカフェで美味しいケーキを食べていいことにするなど、子ども時代を思い出し、自分へのご褒美とセットにするのも習慣化には役立ちます。

 目的とおまけを逆転させるもの一考です。スイーツを食べにいくことを目的にし、近所の歯医者の定期健診をオマケにすれば、心理的な抵抗やストレスは抑えられます。ご自分に合った予約方法でよいので、歯の定期検診を受ける習慣をお勧めします。

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*写真はイメージです