FtoPダイレクトリサイクル技術で再生したPETボトル製品が広がっている(サントリー食品インターナショナル)

FtoPダイレクトリサイクル技術で再生したPETボトル製品が広がっている(サントリー食品インターナショナル)

サントリー食品インターナショナルは、「サステナビリティ経営と地域社会への貢献」、そして「“現場”が主役のユニークなグローバル経営体制の深化」を2030年に向けた長期経営戦略の中に位置づけている。サステナビリティの大きなテーマでは、「水」、「環境」、「人材」があり、そのうち「環境」では、サントリーグループとともに環境経営を推進している。自然の恵みに支えられている企業の責任として、持続可能な社会づくりに貢献するために、新たに「2030年環境目標」を設定した。注目は容器包装の取り組みである。「2R+B」のリデュース(使う量を減らす)・リサイクル(繰り返し使う)・バイオ(植物由来の資源)の考え方のもと、環境負荷低減への取り組みにより常に業界をリードし続けている。

サントリー食品インターナショナルは、国産最軽量のPETボトルの導入や国産最薄の商品ラベルを実用化、さらに植物由来原料のPETボトルなどに取り組んできた。また、11年には協栄産業社と共同で、使用済みPETボトルを、新たなPETボトルに再生する「ボトルtoボトル」の確立に向け、2009年に取り組みを本格化。その原動力となったのが、「メカニカルリサイクル」という新技術である。サントリーは、日本で初めて「メカニカルリサイクル」開発し、リサイクルPETボトルを積極的に使用している。

「メカニカルリサイクル」は、PET樹脂のまま、中に深く入り込んだ不純物を高温、真空の中で吸い出し、純度の高い樹脂に再生する方法。化学的分子レベルまで分解して再び樹脂をつくる“ケミカルリサイクル”に比べ、工程を大幅に短縮して製造エネルギーを節約できるのが特徴だ。

昨年春には、PETボトルリサイクルの一部工程を省くことで、環境負荷低減と再生効率化を実現する技術「FtoPダイレクトリサイクル技術」を協栄産業社などともに、世界で初めて共同開発した。サントリー食品のPETボトル製品に順次採用している。

FtoPダイレクトリサイクル技術」とは、PETボトルから再生PETボトルをつくる“ボトルtoボトル”リサイクルを発展・効率化させたもので、回収したPETボトルを粉砕・洗浄したフレークを高温、真空下で一定時間処理し、溶融後、直接プリフォームを製造できる技術だ。従来の仕組みと比較すると、CO2排出量を約25%削減し、より環境負荷低減とともに、より効率的に“ボトルtoボトル”のリサイクルPETを製造できる。
FtoP製造ラインは2020年春に増設する

FtoP製造ラインは2020年春に増設する


今年は、飲料PETプリフォームの「FtoP製造ライン」を協栄産業社の東日本FtoPファクトリーに増設することを決定、来年春の稼動を予定している。中期目標としては、2025年までに国内清涼飲料事業における、同社の全てのPETボトル重量の半数以上に再生PET素材を使用することを目指している。

〈「2R+B」で環境負荷を低減〉
サントリーの容器包装の考え方は、「2R+B」のリデュース、リサイクルバイオである。これは、PETボトル開発において、樹脂使用料の削減と再生素材の使用により、徹底した資源の有効利用を図りつつ、可能な範囲で石油由来原料を再生可能な原料で代替していく考え方だ。

すでにリデュースでは、PETボトル軽量化のパイオニアとして、容器の軽量化を推進している。使う原料の量を減らした国産最軽量ボトルに、国産最軽量キャップ、国産最薄のラベルを採用するなど、PETボトル軽量化を推進している。

リサイクルは、前述したような“ボトルtoボトル”の技術で、より環境にやさしいリサイクルを目指し、すでに多くの製品に活用されている。

バイオでは、環境に配慮し、植物由来樹脂を積極的に活用。そのひとつの「サントリー天然水」550mlPETボトルは、植物由来原料30%となっている。また、植物由来原料100%使用PETボトルの実現を目指し、米国バイオ化学ベンチャー企業・アネロテック社と協働し、共同開発に取り組む。2016年には実証プラントを建設し、研究開発を進めている。

FtoPダイレクトリサイクル技術で再生したPETボトル製品が広がっている(サントリー食品インターナショナル)