中高生向けスマートフォンアプリ開発のコンテスト「アプリ甲子園」。9回目の開催となる今年は、10月27日(日)に東京・青山のスパイラルホールで決勝大会が行われました。二次予選を勝ち抜いたファイナリストは10組。その中で優勝・総務大臣賞に輝いたのは、三田国際学園高校3年の山口響也くんです。企画力やゲームとしての完成度に加えて技術力も高く評価され、技術賞も受賞。見事ダブル受賞となった山口くんに、優勝の感想やアプリのこだわりなどを伺いました。

アプリでスポーツのようなゲーム体験を

山口くんが開発したアプリ「Crashit」は、ARを利用したブロック崩しゲームです。ボールを跳ね返すリフレクターとなるのは、スマートフォンなどのデバイスそのもの。実際に体を動かして、スポーツのようにゲームを楽しむことができます。

ゲームをスタートすると、画面に映る目の前の風景の中に、形やサイズ、角度、移動速度の異なるさまざまなブロックがあらわれます。ブロックを崩すボールの大きさやスピードは、難易度別に3種類。ブロックを崩していくとアイテムが出現したり、アルティメット必殺技)が使用可能になったりします。
また、背景色に応じてブロックの色が変わり、それによってアルティメットが変化するなど、ゲームをプレイする環境選びもテクニックの1つになっています。さらにゲームには効果音や振動が取り入れられ、視覚だけでなく聴覚や触覚からもプレイを体感できるよう工夫されていました。

まるで自分がゲームの一部になるような世界観

―― 優勝された感想をお聞かせください。

僕は3年連続でアプリ甲子園に参加していて、これまでも決勝大会に進出することはできたのですが、高1のときは準優勝、高2では入賞でした。今年は優勝を目指して頑張っていたのでとてもうれしいです。「やっと優勝できた」という気持ちです。


―― 優勝できた一番の要因は何だと思いますか?

中学生の頃にプログラミングのスクールに通い、その後IT系の企業で3年ほどインターンを経験しました。今回の大会では、これまで培ってきた技術力をしっかりと生かすことができたと思います。また、この1年でデザインの勉強もして、コードも見た目も見やすく読みやすいものにできるようにこだわりました。新しい発想で、これまでにないゲームを作ることができたと思います。


―― 一番こだわった部分、気に入っている部分はどこですか?

ゲームと現実空間が混ざり合い、自分がゲームの一部になるような世界観にこだわって作りました。自分でもとても気に入っています。ゲームアプリを作ったのは今年の大会が初めてなのですが、「まだ他人が作っていない面白いものを作りたい」という気持ちはずっと変わりません。


―― 出場のきっかけは何ですか?

プログラミングスクールを卒業してインターンをはじめた頃、「少し技術力がついてきたかな」と思い、アプリについていろいろ調べてみる中でアプリ甲子園のことを知りました。普段自分の実力を測れる場はあまりないので、いい機会だと思って出場を決めました。

全てを一から作ることができるのがプログラミングの魅力

―― 大会に向けて、一番努力したことは何ですか?

とにかく完成度を高めることです。たとえばバグ(プログラムの誤り)で落ちる(強制終了する)なんて、社会に出てからは許されないことですよね。誰がどんな風に使っても大丈夫なように、デザインもコードも完成度を高めました。この1年勉強を重ねてきたおかげで、去年よりもレベルアップできたと思います。


―― 実際に発表してみてどうでしたか?

3回目の決勝大会なので緊張はありませんでした。作品にも自信があったので、良いプレゼンテーションができたと思います。


―― プログラミングの魅力を教えてください。

すでに存在するものではなくて、全部を一から作っていけることです。自分が思い描くものを何でも作れるところが、プログラミングの魅力だと思います。


―― 大会全体を通した感想、今後の目標を教えてください。

「良い順位が取れるだろう」という自信はあったものの、他の皆さんのアプリやプレゼンもとても素晴らしく、結果が発表されるまでは少し不安でした。でもそんな中で優勝することができて、とてもうれしいです。さらに技術力が評価され、技術賞までいただけて本当によかったと思います。
今後はアプリだけではなく、どんな形でも表現できる人を目指したいです。音楽やアートといった芸術分野など、アプリ以外のアウトプットの方法を勉強していくつもりです。

山口くんのアプリ「Crashit」は、デザインもスタイリッシュで分かりやすく、誰でも直感的にプレイできるゲームになっています。このアプリは今後リリースする予定だそう。皆さんも実際にプレイして、“スポーツのようなゲーム体験”を楽しんでみてはいかがでしょうか。

profile】三田国際学園高等学校
山口響也(3年)